交通事故死者 3年ぶり増が確定 岡山県警、冬場対策を強化中

ハイビームの効果などを紹介する検証動画の一場面

 日暮れが早まる冬場は例年、薄暮時の交通死亡事故が増える。今年は県内の事故死者数が3年ぶりに前年を上回ることが確定しており、県警は対策を強化。夜光反射材の効果を紹介する動画配信や、車のライト点灯を促す給油値引きの特典付きグッズ配布など啓発に努める。

 県警によると、今年の死亡事故は車や自転車の自損型が目立ち、1日時点で65人。2019年(75人)以降、20年(62人)、21年(57人)と2年連続で減少してきたが、10月18日に昨年の死者数を超えた。現在は昨年同期を十数人上回る状態が続いている。

 中でも秋冬は帰宅ラッシュの時間帯と日没が重なるため、死者が相次ぐ。過去10年間では日没前後1時間の「薄暮時間帯」に発生した死亡事故の45%が10~12月に集中。昨年も、同時間帯に起きた人身事故の約35%が10~12月だった。

 そこで県警は薄暮時や夜間に絞った啓発を9月から強化。ドライバー、通行者の双方に早めに自分の存在を知らせる取り組みを展開している。

 車のライトや夜光反射材の検証動画は、動画投稿サイト・ユーチューブの県警公式チャンネルで9月から公開。通行者にLED(発光ダイオード)ライト着用を訴える広報キャラクター「LEDs(エルイーディーズ)」も誕生させ、10月からは「キラリ岡山!50日プロジェクト」と銘打ち、各署が薄暮・夜間時にライトを配る。

 ドライバー向けには、給油が1リットル当たり3円値引きされるQRコードと、日没前のライト点灯を求めるメッセージが記載されたティッシュを用意。11月には県警などが岡山市内のガソリンスタンド(GS)で給油に来たドライバーに手渡すなど励行を呼びかけた。

 現在は県運転免許センター(岡山市北区御津中山)などで免許更新者らに配布中で、県内の一部GSで今月末まで何度でも使える。

 県警交通企画課は「ハイビームの活用や目立つ色の服装など、ドライバー、通行者がお互いに存在をアピールし合う意識を徹底してほしい」としている。

給油の値引きが受けられるQRコードと日没前のライト点灯を促すメッセージが記載されたティッシュ

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