<南風>弁護団と私

 私のいる法律事務所は弁護士3人のこぢんまりとした共同経営事務所で、依頼を受けた事件は自分一人で代理人を務めることがほとんどである。そうした事件とは別に、いくつかの「弁護団事件」の弁護団に参加している。

 弁護団というのは、特別な意味があるわけではなく、要は複数の弁護士が集団で代理人を務める場合であり、数人規模のものから百人規模のものもある。

 どういう事件で弁護団を組むかに基準はないが、当事者数が多い、あるいは社会問題の側面がある事件で世論に訴えかける必要があるなどといった場合、弁護団を結成するのではないかと思う。

 札幌で弁護士をやっていたころは、石炭じん肺や建設アスベストといった被害についての訴訟や原発廃炉訴訟の各弁護団に参加していた。沖縄に来てからは、米軍基地による爆音被害などについての訴訟の弁護団に参加している。

 弁護団事件の良さはなんといっても、集団で考え、作業することで、より良い代理人活動を目指せることである。

 また、他の弁護士と議論したり、自分の書いた書面について意見をもらったりすることは、自身のスキルアップにも役立つ。時には厳しいことを言われ、しょんぼりすることもあるが、それも弁護団ならではの学びの機会である。

 弁護士は個性的な人が多いこともあってか、議論が熱くなりすぎることもあるが、当事者のために交渉や訴訟でできる限り、良い結果を出したいという志は一つであり、厳しい局面で励まし合えるのもありがたい。そうした活動を通して培った互いの信頼関係は、本当に貴重である。

 集団行動が苦手な私だが、弁護団の活動はこれからもできる限りフレッシュな気持ちで積極的に行っていきたい。

(林千賀子、弁護士)

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