岐阜・高山で小型肉食恐竜の卵殻化石、筑波大学など確認

岐阜県高山市荘川町にある中生代の地層から小型肉食恐竜・トロオドンの仲間とみられる卵殻化石が見つかった。筑波大学生命環境系の田中康平助教、岐阜県博物館の高津翔平学芸員らの研究チームが確認した。トロオドン科の標本はアジアで中国でしか発見されておらず、分布を知るうえで重要な記録といえる。

筑波大学によると、卵殻化石が見つかったのは、北陸地方に広く分布し、多数の恐竜化石が発掘されている手取層群のうち、⾼⼭市荘川地域に分布する前期⽩亜紀の地層、⼤⿊⾕層(約1億2900万年~1億3300万年前)。大黒谷層では1988年から2009年にかけて、恐竜やカメ類など多様な脊椎動物の骨化石に加え、計9点の卵殻化石が採集されており、研究チームが2019年から本格的に調査したところ、トロオドン科とみられる獣脚類恐竜の卵殻化石が含まれていることが分かった。

国内で発見された卵殻化石としては最古で、トロオドン科とみられる卵殻化石は兵庫県に次いで2例目になる。またトロオドン科の他の卵殻化⽯には⾒られない特徴的な表⾯模様があることから新卵属・新卵種と判明。荘川地域の卵殻化⽯の第⼀発⾒者である⼤倉正敏⽒にちなんで「ラモプリズマトウーリトゥス・オオクライ」と命名した。殻の厚みから推定される卵はニワトリの卵よりやや大きく100g程度で、⼩型のトロオドン科が産んだものと考えられる。

トロオドン科は⿃類に近縁なグループの⼀つで、⾁⾷・雑⾷性で後肢に⼤きなかぎ⽖を持っていた。前期⽩亜紀のアジアで出現し、北半球で繁栄したと考えられている。ラモプリズマトウーリトゥス・オオクライは約1億3千万年前の⼩型獣脚類化⽯としてアジア最東端の発⾒であり、時代、地理的分布ともに重要な記録といえる。

論文情報:

【Historical Biology】Fossil eggshells from the Early Cretaceous Okurodani Formation, northern central Japan

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