
求人票に書かれる給与の意味とは?
職業安定法では、求人票に最低限明示しなければならない項目の一つとして給与をあげています。求人票に記載する給与とは、原則として募集する業務内容に対して支払われるものです。試用期間があり、その間の給与が異なる場合はそれも明示しておく必要があります。
つまり、本来求人票に書かれている給与とは、採用後に支払われる額でなければなりません。また「明示する労働条件は、虚偽または誇大な内容としてはならない」ともしています。
給与の額を明示する際、多少の幅を設けているケースも見られます。幅を持たせているときの主な理由とは「経験やスキルによって給与の額に差が出る場合」「資格や扶養家族の有無により手当に違いが出る場合」などです。例えば、既婚の労働者に対して月2万円の家族手当を支給する会社であった場合、単身者より既婚者のほうが月々の給与は2万円高くなります。
このように、給与の額に幅を持たせるといっても、せいぜい数万円程度の違いと考えるのが一般的です。
給与にあまりにも幅がある場合に考えられることは?
求人票に書かれている給与が350~1000万円だったとしたら、あまりにも幅があります。会社によっては、1回の求人で複数の業務を募集することもあるでしょう。
しかし、その場合は業務内容ごとに給与を含めた労働条件をそれぞれ明示しておかなければなりません。複数の業務内容を募集しているわけではなければ、想定できることとして次のようなケースがあげられます。
・歩合制を採用している
営業職で歩合制を採用している会社なら、個人の売り上げに応じて給与に違いが出ます。成果に応じて毎月の給与が変動するため、既存の社員の給与を参考に350~1000万円としているのかもしれません。ただし、歩合制を採用しているときは、求人票にそのことを明示しておくのが通常です。
・社内全体の給与を記載している
募集している業務内容だけではなく、会社全体の給与を記載しているケースもあります。350~1000万円の場合でいえば、1000万円は役職者の年収である可能性が高いといえます。つまり、採用後に受け取れる給与は低いほうの額と考えるのが妥当です。この場合は「虚偽または誇大な内容」に該当すると考えることができます。
給与に幅がある会社はブラックなのか?
職業安定法では、労働条件の水準と範囲について可能な限り限定する配慮が必要だとしています。そのため、求職者が理解できるような説明の記載もなく給与の幅がありすぎるのは、何らかの問題がある会社と考えたほうがいいでしょう。
例えば、残業が法定時間を超えるなど、労働環境が劣悪な可能性もあります。社員の定着率が悪い会社だと、高収入が得られるように見せることもあるので注意が必要です。
労働条件に疑問を感じる求人は慎重に!
求人票には、職場環境を含め労働条件を可能な限り詳細で具体的に明示することが求められます。給与についても、採用後に受け取れる額を明示しなければなりません。
しかし、何の説明もなく金額にあまりにも幅があるときは、その理由を問い合わせてみるといいでしょう。労働条件に何らかの疑問を感じるときは、安易に応募せずに情報を集め、慎重に考えることが必要です。
出典
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部