両開きの仕掛け つながるストーリー 「海洋ごみ問題の本」共同発行 長崎東高3年生×みなとラボ

「海洋ごみの問題を知ってほしい」と話す4人。左から筑紫さん、小倉さん、堀川さん、坂本さん=長崎市茂里町、みらい長崎ココウォーク5階TSUTAYA

 長崎県立長崎東高(長崎市立山5丁目)3年の4人が、海に関する教育活動に取り組む一般社団法人「3710Lab(みなとラボ)」(東京)と共同で海洋ごみについて考える本を発行した。左開きと右開きの両方からそれぞれ別のストーリーが展開され、最後に二つの話がつながる。4人は「海やごみ問題について子どもの頃から関心を持ってほしい。高校生世代には、探究活動をする後押しになってほしい」と話す。

 4人は堀川咲希子さん(18)、筑紫莉里花さん(17)、坂本ひなたさん(18)、小倉葵さん(18)。
 「総合的な探究の時間」の授業をきっかけに4人は昨年5月、長崎の海をきれいに保つためにはどうすればいいかを考え、行動するグループ「プラスチッくじら」を結成。海や川の清掃や対馬などの現地調査をしたり専門家や行政に話を聞いたりした。啓発動画を撮影したほか、国際会議にも参加した。
 本を作ろうと考えたのはもっと多くの人に「海洋ごみ問題を広く知ってほしい」から。昨年7月、フェイスブックで海洋教育に関する事業を募集していた「みなとラボ」を見つけ思いを伝えたところ実現した。
 今年8月完成した本の左開き側「解決できなかったわたしたちの問題 ~海とごみと高校生~」は、4人の活動の記録や、その中で分かった現実や感じたこと、課題をイラストや写真を使い、まとめている。
 右開きの「ペットルと黒いかげ」は絵本。長崎弁を話すペットボトルを通じ、海の中には多くのごみがあることを子どもたちに伝えた。
 本の企画・監修をしたみなとラボの田口康大さんは「真っすぐな思いに打たれ、一緒に取り組めたら面白そうだと直感した」と当時を振り返る。
 11月1日、長崎市のみらい長崎ココウォークで開かれた発売記念トークショー。4人は「高校生の思いが形になり驚きとうれしさが大きい」と喜びを語り、言葉を続けた。「きれいな長崎の海を守るためにはまず知ること。身近な問題として、動くきっかけとなる1冊になれば」
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 本は日本財団の「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の助成を受けた。800部発行。幅156ミリ、長さ231ミリ。48ページ。1980円。長崎市の好文堂書店、BOOKSライデン、ひとやすみ書店などで販売している。

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