国内外の「用の美」150点一堂 倉敷民芸館 初代館長の著書ちなみ

「少年民芸館」に登場する品などを紹介した会場

 倉敷市美観地区にある倉敷民芸館(同市中央)で、初代館長の外村吉之介氏(1898~1993年)の著書「少年民芸館」(1984年)に登場する品々を中心に並べた特別企画展が開かれている。

 2023年が外村氏の生誕125年と没後30年、1948年に開館した倉敷民芸館の75年という三つのメモリアルイヤーとなるのを記念。来年11月5日まで、1年間開催する。

 地元・倉敷で誕生したノッティングの椅子敷や外村氏がデザインした愛媛県の伝統工芸品・桜井漆器の椀(わん)をはじめ、スイスのエプロン、フィンランドの裁縫箱といった約150点を飾る。無名の職人たちが手がけた無駄のない素朴な「用の美」の数々が、来場者の目を引いている。

 国内外の民芸品を取り上げた同著からも文章を抜粋し、1774年製のドイツの成人式用祝い皿は「美しい整いは暮らしや仕事の長い背景あってのこと」などと解説した。

 森原絵理香学芸員は「世界中の暮らしの道具を眺めながら、自分ならどんな暮らしがしたいのか考えても楽しい」と話していた。

 布類約30点は数回入れ替え予定。午前9時~午後5時。一般千円、大学・高校生400円、小・中学生300円。祝日を除く月曜と12月29日~1月1日は休館。問い合わせは同館(086―422―1637)。

手前左はドイツの成人式用祝い皿。同右は仏プロバンス地方で生産された肉焼き用コンロ

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