細く長~く広まれば…「八」つの具材の絶品「塩」焼きそば 八潮のB級グルメ主役目指す 10日に販売も

元祖八潮焼そばを手にする武藤吉彦さん=11月17日、埼玉県八潮市中央

 焼きそばといえば、コシのある麺に濃厚ソースを絡めた静岡県の「富士宮やきそば」が有名だが、埼玉県八潮市にも知る人ぞ知る絶品焼きそばが存在する。その名も「元祖八潮焼そば」。八“潮”にちなみ塩味で、使う具材も“八”つ。条件は市特産の野菜3品(コマツナ、エダマメ、ネギ)を使用すること。市内3店舗のみでしか提供しておらず、じっくりゆっくりと八潮名物を目指す。

■塩だれ決め手

 元祖八潮焼そばは今から10年前、市内の老舗弁当店「藤吉」2代目の武藤吉彦さん(38)が考案した。この年は隣の草加市で「埼玉ご当地B級グルメ王決定戦」があり、「八潮をPRできるグルメを」と開発に取りかかった。

 ベースは短時間で調理でき、老若男女から愛される焼きそば。市特産のコマツナ、エダマメ、ネギを使い、野菜のうまみを引き出す塩味にこだわった。食材は野菜以外に中太麺、甘辛ひき肉、ナルトなど計8種類。味の決め手は武藤さんが独自で調合した塩だれ。隠し味にニンニクと黒コショウを加え、強火で一気に炒めれば完成。大人には程よい辛さがビールのお供に最適。子どもには黒コショウを加減し、まろやかな味わいに仕上げた。

■3店舗で同一

 顔なじみの飲食店3店舗で「八潮焼そばの会」を結成し、臨んだ決定戦。県内から20店舗以上参加する中、1998食を販売。初出場で5位入賞を果たした。

 現在は同会の3店舗のみで提供している。味の決め手となる塩だれは武藤さんが仕込み、3店舗同一のものを使用。レシピも共通で味のぶれがないのも特徴だ。グルメ王決定戦以降は「やしお枝豆感謝祭」や「八潮夜市」など市内のイベントに顔を時々出しては振る舞ってきた。

■細く長く浸透

 「(元祖八潮焼そばを)知っている市民は徐々に増えたと思うが、市外では…」と苦笑いする武藤さん。知名度はまだまだ十分とは言えず、幅広いPRも今後の課題の一つだ。

 その一方で、急がずゆっくり人気が広がればとの思いも、武藤さんは持っているという。「忘れた頃にふと食べたくなる、そんな存在であればいい」。地道に味が広がり、いずれは八潮名物の主役へ。「(麺と同様に)細く長~くの精神で、八潮に根付かせたい」。武藤さんは目を輝かせる。

 10日にはJA八潮直売所のイベントで、元祖八潮焼そば約200食の販売が予定されている。

【メモ】藤吉は午前9時~午後3時。日曜祝日休み。元祖八潮焼そばは1人前300グラムで300円(税込み)。販売はテイクアウト1日10食程度。問い合わせは、藤吉(電話048.996.9398)へ。

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