「メンタルフレンド」寄り添い後押し 大学生が不登校小中学生の相談相手に 佐世保

不登校の児童や生徒が、メンタルフレンドの力も借りて一歩踏み出す場所の一つになっているあすなろ教室=佐世保市青少年教育センター

 不登校などの小中学生が増える中、相談相手となる「メンタルフレンド」の必要性が高まっている。主に役割を担うのは年齢が近い大学生。親でも教諭でもない第三者の大学生が兄や姉のように小中学生と遊んだり話したりすることで、閉ざされた心を和らげていく役割が期待される。佐世保市で活動する大学生は「いろいろな選択肢があることを伝えたい」と悩める小中学生を見守り、背中をそっと押している。

 「いろんな“道”があることを伝えたい」。こう話すメンタルフレンドの長崎国際大4年の奥村美月さん(22)は、高校時代、不登校になった経験があり、環境を変えようと留学した。「当時は学校が全てだと思っていたけれど、今は自分に合うところに行けばいいと思う」。もがいた時期を経て出した“答え”だという。
 メンタルフレンドは、不登校や家に閉じこもりがちな小中学生に寄り添うボランティア。2022年度は佐世保市青少年教育センターに大学生17人が登録。依頼を受けて、同センター職員と小中学生の自宅に出向いている。

 不登校の小中学生は増加傾向で、市の課題の一つになっている。市教委学校教育課によると、21年度に不登校だった市内の小学生は20年度比22人増の169人。中学生は同比59人増の333人で、ここ5年で最も多い。市内の全児童生徒数に対する不登校の割合はいずれも県平均をわずかに上回る。不登校の要因は、人間環境や勉強、家庭環境などが複雑に絡み合っているという。
 センターによると引きこもりがちな小中学生は、他人と関わることに強くストレスを感じやすい。メンタルフレンドは小中学生の趣味や関心のある話題を糸口に会話し「人と関わる楽しさを伝えられたら」と同大4年の種村佳乃さん(21)。21年度は、メンタルフレンドと接した不登校の小中学生15人のうち9人がセンターに開設する学校適応指導教室「あすなろ教室」に通い、3人は別室登校などができるようになった。
 センターは21年度から地域のコミュニティセンターなどを活用した「サテライトあすなろ教室」を本格的に開設し、小中学生の受け入れ態勢を強化。同大4年の浜砂佳寿也(かずや)さん(21)は「バディとして、小中学生が目指す場所に進むためのサポートをしていきたい」と話している。


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