3年ぶり開催のニスモフェスティバル2022に3万人が来場。来季の「チャンピオン防衛」を片桐CEOが宣言

 12月4日、静岡県の富士スピードウェイで3年ぶりに『ニスモフェスティバル2022』が開催され、スーパーGTとENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankookでチャンピオンを獲得した2022年シーズンを、サーキットに集まった3万人のニッサン/ニスモ、モータースポーツファンとともに祝福した。

 2022年で23回目の開催を迎えたニスモフェスティバル。晴天に恵まれたイベント当日は早朝からレーシングコースやパドック、グランドスタンド裏のイベント広場でさまざまなプログラムが開催され、朝から多くのファンが会場に足を運びイベントを楽しんだ。

 午前中のニスモロードカーのオーナーたちによるパレードランを皮切りに、1970年代前後のレーシングマシンがコース上でバトルを繰り広げるニッサン・ヒストリックカー・エキシビジョンレースが開催され、S30フェアレディZをはじめとする往年の名車たちによる白熱したレースが行われた。そんな光景に、レース中には往年の名車たちの貴重な走行姿を収めようと多くのファンがカメラを向けていた。

NISSAN ヒストリックカー エキシビジョンレースの様子

 11時40分からのウェルカムセレモニー後に行われたニッサンモータースポーツ・ヘリテージランでは歴代のニッサンZ、フェアレディZのレースカーが集結し、サーキットにエキゾースト音を響かせた。このヘリテージランでは2004年GT500チャンピオンマシンのXANAVI NISMO Zでデモ走行を本山哲が行い、「このクルマはスピードがあってレスポンスの良いクルマです。今でもとても乗りやすいですよ」と語った。

2004年のチャンピオンマシンXANAVI NISMO Zをドライブする本山哲

 
 歴代Zレーシングマシンによるデモ走行を終えた後には、2022年3月16日に亡くなったTEAM KUNIMITSUの高橋国光総監督を偲び、高橋国光がニッサン時代にドライブしたSKYLINE 2000 GT-R RACING CONCEPTを長谷見昌弘、グループAのSTPタイサンGT-Rを土屋圭市がステアリングを握り、高橋国光メモリアルランが行われた。
 
 走行後のインタビューで土屋は、「16歳でバイクの免許を取って高橋国光さんに会いたくて富士スピードウェイに来ました。くしゃくしゃになった領収書の裏に、国さんのサインをいただいたんです」と高橋国光との思い出を語った。

高橋国光さんが日産時代にドライブしたマシンと長谷見昌弘(左)と土屋圭一(右)

 イベントの最後にはニスモフェスティバルの人気コンテンツであるニスモGPが行われ、2022年シーズンのさまざまなカテゴリに参戦したドライバー、マシンによる熱いバトルが繰り広げられた。レースはスーパーGT GT500クラスでチャンピオンを獲得したカルソニック IMPUL Zの平峰一貴/ベルトラン・バケット組がトップでチェッカーを受けたものの、バケットから平峰にドライバー交代した直後のピットレーン速度違反が判定され、順位が心配されたが、最終的に「エンジン部品洗浄手伝い」というペナルティがバゲットとともに科された。

NISMO GPのスタートシーン

 平峰はレース後のインタビューで「『ピットロードも一番速く走ってこい!』と星野監督に言われていました」と冗談を飛ばしサーキットの笑いを誘うシーンも。なお、MOTUL AUTECH Zを駆る松田次生にもピットレーン速度違反で「フェスティバル撤収手伝い」のペナルティが提示されている。

 そんな展開で盛りあがりをみせたニスモGPのレース後には、イベント最後のコンテンツとなるフィナーレがメインストレート上で行われ、ウェルカムセレモニー同様にニスモフェスティバル2022に参加する全ドライバーと監督、レースクイーン、関係者がホームストレート上に再び集結した。

 フィナーレでは、まずニッサンのアシュワニ・グプタCOOによるあいさつ映像が放映された。映像のなかでグプタCOOは、「本日は3年ぶりに開催となるニスモフェスティバルにご来場いただきまして本当にありがとうございました」と、サーキットに来場したファンたちに感謝の言葉を語ると、「本日ご来場のみなさまにはモータースポーツに対するニッサン/ニスモのあくなき情熱を、見て、聞いて、感じていただくことができたと思います」と続けた。

 グプタCOOのコメント後には、2022年のスーパーGT GT500でチャンピオンを獲得したカルソニックIMPUL Z、GT300でチャンピオンを獲得したリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R、さらにスーパー耐久でチャンピオンを獲得したHELM MOTORSPORTS GTR GT3の3台と、ニッサン・リーフ・ニスモRC_02がホームストレートに登場。

 リーフ・ニスモRC_02には2023年“シーズン9”からABB FIAフォーミュラE世界選手権でニッサンドライバーとして戦うサッシャ・フェネストラズと、チームマネージングダイレクターのトマソ・ヴォルペが乗っており、メインストリートにクルマを止めてふたりが姿を表すと、来季のフォーミュラE挑戦に向けて意気込みを語った。

 続いてスーパー耐久でシリーズチャンピオンを獲得したHELM MOTORSPORTS GTR GT3の鳥羽豊/平木湧也/平木玲次の3人に花束が贈呈され、その後はスーパーGT GT300クラスチャンピオンのリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラのふたりと、GT500クラスでチャンピオンを獲得したカルソニックIMPUL Zの平峰一貴/ベルトラン・バケットのふたりにもチャンピオン獲得を祝福する花束が贈られた。

今季チャンピオンを獲得したチームには花束が贈呈された

 花束贈呈後はニッサンモータースポーツ&カスタマイズ(NMC)片桐隆夫CEOによるあいさつが行われ、「本日は富士スピードウェイにお越しいただき、そしてこのフィナーレまで残っていただき本当にありがとうございます」とニスモフェスティバル2022に来場したファンたちに改めて感謝の言葉を述べた。

「いろいろなドラマがあって、いろいろな人の努力が実ってチャンピオンを獲得できましたが、やはりその原動力は応援してくれるファンのみなさまの力だと思っています」

 片桐CEOは「来シーズンはチャンピオンの防衛、フォーミュラEでも上位を目指していきます。また新型Z GT4のレース参戦を日本とアメリカで行います。引き続きチャレンジをしてまいりますので応援よろしくお願いいたします。今年1年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします!」と締めくくり、大盛況のうちに2022年のニスモフェスティバルは幕を下ろした。

フィナーレでファンに向けて今シーズンの感謝を送る片桐隆夫CEO

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