ダカールラリー2連覇を狙うトヨタ、2023年大会の参戦体制を発表。TLCと日野も出場

 12月5日、TOYOTA GAZOO Racingは『ダカールラリー2023』の参戦体制を発表した。第45回ダカールラリーは12月31日から2023年1月15日にかけて、中東のサウジアラビアで開催される。

 今月1日に、次回大会のコースが発表されたダカールラリー2023に向け、TOYOTA GAZOO Racingは同ラリー2連覇を狙うディフェンディング・チャンピオンとして『GRダカールハイラックスT1+』による3台体制を敷き、かつ強力なラインアップを揃えた。

 2019年にトヨタにダカールラリー初優勝をもたらした、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組はそれを象徴するペアだ。彼らは2022年に2度目の総合優勝を日本メーカーにプレゼントすると、今年スタートしたW2RC世界ラリーレイド選手権でも初代王者に輝いた。2023年は残り1カ月を切ったダカールラリーと、同イベントを開幕戦とし全7戦が行われる世界選手権の両方で連覇達成を目標とする。

 アル-アティヤ組のチームメイトには、ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組とヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が継続起用された。ヴィリエールは今年1月のダカール後、GRダカールハイラックスT1+でSARRC南アフリカラリーレイドシリーズに挑み、見事シリーズチャンピオンを獲得。また、2021年のSARRCチャンピオンであるラテガン組もシリーズ2位となり、TOYOTA GAZOO Racingのペアがランキング1位、2位を独占してみせた。

 なお、このふたつのペアは2023年のダカールラリー終了後も、GRダカールハイラックスT1+のテストと開発を目的に、TOYOTA GAZOO Racing南アフリカからふたたびSARRCに参戦する予定だ。

 参戦車両は2022年のダカールとW2RC、そしてSARRCの参戦を通じてさらに鍛えられたGRダカール・ハイラックスT1+が用いられる。2023年大会に向けてはデファレンシャルやサスペンションのパーツが強化されているほか、シングルダンパーのセットアップやトランスミッションのシフト特性が最適化された。

 また、最新のレース用燃料に対応するとともに、T1+とT1U(T1アルティメット)クラスの性能調整の一環として決定した、最高出力30kW削減などの変更に適応するソフトウェアの調整が行われている。

 このGRダカールハイラックスT1+は、TOYOTA GAZOO Racingだけでなくプライベーターにも提供され、ダカールラリー2023では計7台のカスタマーカーがプライベータチームから参戦予定。これらの車両はTGRの参戦車両と同じ仕様とセットアップで出場することになる。

各種改良を受けたGRダカールハイラックスT1+。2023年はTGRの3台に加え、プライベータチームから計7台の同型モデルが参戦する

■日野チームスガワラも引き続き参戦

 TOYOTA GAZOO Racingは、新型トヨタ・ランドクルーザーをダカールラリーに初投入するチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)をサポ―トしている。TLCは2022年大会で市販車部門9連覇を達成しており、2023年の第45回大会では『ランドクルーザー300 GR SPORT』による初優勝と部門10連覇を目指して戦っていく。

 クルーは既報のとおり、“1号車”こと246号車が三浦昂/ローラン・リシトロイシター組、僚友250号車はロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組となっている。

 菅原照仁が率いる日野チームスガワラも、ハイブリッド車両でダカールに復帰する。2022年大会にハイブリッドシステムを搭載したボンネットタイプの日野600シリーズで参戦した日野チームスガワラ。トラック部門総合22位完走を果たした同チームは2022年に引き続き、菅原/染宮弘和/望月裕司のトリオでサウジアラビアに戻り、改良されたハイブリッドシステムを搭載したトラックで総走行距離8500kmを超える冒険に挑む。

ダカールラリー2023に参戦する、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)の『トヨタ・ランドクルーザー300』
トラック部門22位で完走を果たしたHINO TEAM SUGAWARAの日野600ハイブリッド ダカールラリー2022

 ダカールラリー2023年に参戦するTGRメンバーのコメントは以下のとおりだ。

●TGR W2RCチーム代表 アラン・デュハディン

「2022年は我々にとって素晴らしいシーズンだった。ダカールラリー2022の勝利でシーズンをスタートし、初代のW2RCチャンピオンという栄冠も加えることができ、また、ジニエルがSARRCでのチャンピオンを獲得した」

「この偉業を成し遂げてくれた3台のクルー全員に感謝する彼らはつねに限界への挑戦を続けているし、技術面でもグリン・ホールがGRダカールハイラックスT1+の絶え間ない改良を続けてくれているので、来たるダカールラリー2023への準備はこれまで以上に整っていると思う」

●TGRダカール&SARRCチーム代表 兼 テクニカルディレクター グリン・ホール

「ダカールラリー2023を目前に控え、世界でもっとも過酷な自動車レースに3台体制で挑めることが楽しみだ。我々はこの1年間、懸命な作業でGRダカールハイラックスT1+の改良を進めてきたので、あの過酷なラリーへ向けての準備は万端整っており、力強く戦えると確信している」

●ナッサー・アル-アティヤ

「2022年のW2RCチャンピオン獲得は僕の最初の目標だったので、それを達成できて本当に誇らしく思う。また、GRダカールハイラックスT1+はシーズンを通して着実に進化を遂げており、ナミビアでの最終テストを経て、間違いなく最良のGRダカールハイラックスT1+に仕上がったと思う。あとはサウジアラビアへと向かうだけだ」

●ジニエル・ド・ヴィリエール

「2022年は、とくにSARRCで大変な挑戦だったが、タイトルを獲得しチームとしても大きく成長できた。GRダカールハイラックスT1+も我々とともに進化してきたので、来たるダカールラリー2023にまた出場できるのが本当に楽しみだ」

「SARRCのチャンピオンを獲得したことで、ダカールラリー2023でも優勝を争えるという自信がついたし、スタートが待ちきれないよ」

●ヘンク・ラテガン

「ダカールラリー2022は僕にとって学習の年だったと思っているが、素晴らしい経験だった。ダカールラリー2023は、その経験を活かしての挑戦となるし、GRダカールハイラックスT1+も進化している。サウジアラビアのラリーに全力で挑みたい」

■TGR、TLC、日野チームスガワラ ダカールラリー2023参戦体制

TOYOTA GAZOO Racing

GRダカールハイラックスT1+ #200 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル

GRダカールハイラックスT1+ #205 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ

GRダカールハイラックスT1+ #217 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス

チームランドクルーザー・トヨタオートボデー

ランドクルーザー300 GR SPORT #246 三浦昂/ローラン・リシトロイシター

ランドクルーザー300 GR SPORT #250 ロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト

日野チームスガワラ

日野600シリーズ #519 菅原照仁/染宮弘和/望月裕司

© 株式会社三栄