来年元旦 若水送り 儀式簡素化し開催 一関・東山

儀式を簡素化して開催を決めた磐井清水若水送り実行委

 一関市東山町の磐井清水若水送り実行委員会(安東正利委員長)は4日、松川市民センターで開かれ、1月1日の恒例行事「磐井清水若水送り」を2023年も開催することを決めた。第31回となる若水送りは22年と同様に参加者の一般公募は行わず、儀式を簡素化して同町松川から平泉町までバスで移動する。今後道具類の手配など開催に向けた準備を本格化する。

 若水送りは松川の里人が藤原秀衡公の命により新年に同市東山町松川の「磐井清水」から奈良坂峠、東岳峠を越えて平泉町の柳之御所まで若水を手渡しで運んだと伝えられる故事を再現している。1993年に約800年ぶりに復活して以降毎年行われており、2020年は厳しい寒さの中、磐井清水から令和になって初の若水をくみ、子供から大人まで124人の行列が約20キロの道のりを歩いて平泉町の中尊寺まで送り届けた。

 21年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で復活以降初の中止となったものの、安東委員長と磐井清水若水送り保存会の佐藤育郎会長が2人で若水を中尊寺に献上。今年は参加者を30人規模に縮小し、移動にバスを使うなど儀式を簡素化して開催した。

 第1回会議には役員ら10人余りが出席。佐藤会長と安東委員長らが「来年も若水を中尊寺に送り届けたい」などとあいさつし、11月下旬に行った中尊寺との申し合わせを踏まえた開催形体を確認。本番までの準備や当日の役割分担などについて協議した。

 来年1月1日は午前5時30分に磐井清水で地元の稚児が若水をくみ、30人規模の参加者が奈良坂峠と東岳峠の道中をバスで移動。中尊寺月見坂から行列をつくり、同寺本坊で若水を献上する。マスク着用や手指消毒などコロナの感染対策を徹底する。

 安東委員長は「コロナ下なので大勢の行列は行わず、バスで移動して若水を届ける形で行事を継続したい。若水送りを通じてコロナの早期収束と平穏な年を祈りたい」と語っている。

© 岩手日日新聞社