【W杯カタール大会】李国秀・世界をのぞく窓 勝負分けたサッカーの神髄の差 日本に与えられた4年後への宿題

 日本は惜しい戦いでしたが、またもベスト8の壁にはね返されました。1次リーグで優勝経験があるドイツ、スペインを破って期待が膨らんだだけにとても残念です。

 前回準優勝のクロアチアに、日本は今大会で初めて先制しました。後半も自分たちのペースに引き込み、1―0で勝ち切るために、リードしている場面で三笘選手を投入する手もあったと思います。試合はPK戦にもつれ、最終的に女神は「サッカーをしたチーム」にほほ笑みました。

 今大会の日本は勝負事という点では新しい景色を見せてくれました。追い付け、追い越せの展開では世界をあっと言わせられましたが、ボールを保持すると日本は良さを出せず、望む景色にはなりませんでした。

 一方のクロアチアはボールを大事にして長短のパス、スピードの緩急を使って攻めてきました。連戦の疲労も見え、すごいシーンが何度もあったわけではありませんが、攻め手の多さがジャブのように効きました。

 がっぷり四つの接戦を分けたのは、サッカーの神髄の差。それがあるクロアチアが一枚上手で、日本には4年後への宿題が与えられました。

 W杯で8強の壁を突破するためには、勝ち負けだけを追求するのではなく、サッカーの質が問われます。世界の頂点を争うここからの戦いの中に学ぶものが見えます。

 り・くにひで 読売クラブなどでプロサッカー選手として活躍後、桐蔭学園高やヴェルディ川崎(現東京V)などで指導に当たった。教え子にいずれも元日本代表の森岡隆三氏、戸田和幸氏(J3相模原監督)、中沢佑二氏や、J1福岡監督の長谷部茂利氏ら。厚木市で「エルジェイ・サッカーパーク」を経営。横浜市青葉区在住。

© 株式会社神奈川新聞社