エアコンなど電気を多く使う寒い季節がやってきた。電力各社が電気料金の大幅な引き上げを予定する中、家計への負担を少しでも減らすにはどうしたらいいのだろう。節電などを通じた環境保全活動に取り組むNPO法人「エコプランふくい」(福井県福井市)事務局長の浅利裕美さんに、無理なく手軽に取り組める冬の節電術を聞いた。
■電気代がかさむ家電は
電気代がかさむのは「熱を使うところ」と浅利さん。資源エネルギー庁の調査によると、冬場の家庭で電力の消費割合が多いのは上位から▽エアコンなどの暖房器具▽冷蔵庫▽給湯-と続いている。
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暖房にエアコンを使う時は「暖かい空気を循環させ、冷気を止めるのがポイント」だそう。暖かい空気は上部にとどまるため、部屋の場所によって寒暖差が発生。冬場の温度設定は20度が目安とされるが、座っていると寒さを感じて温度を上げる原因になる。
活用したいのは扇風機やサーキュレーター。部屋の空気を循環させることで「室温を均一にすれば、温度を下げてもあまり寒く感じない」と話す。
室内の熱の約6割は窓などの開口部から逃げるため、カーテンの裾を床まで伸ばしたり、プラスチック段ボールを窓に貼って簡易的な二重窓にしたりすることで、冷たい空気の流れを断ち切るのも効果的だ。
■意外な落とし穴は冷蔵庫
同じく冬に使用頻度が上がる電気温水器やエコキュートは「沸き上げ量の設定を再確認してみて」と浅利さん。設置時の設定のまま使っている人も多く「普段は夫婦2人しか使わない」「年末年始で人が集まる」など、家族構成や使用頻度の変化に合わせて必要な量だけを沸かすことで、大幅な節電につながるという。
意外な落とし穴は冷蔵庫。単身赴任を終えるなどして小型の製品を2台目、3台目として置く家も多いが「小型は大型に比べ省エネ性能が低く、消費電力が多い傾向がある」という。使う頻度が低ければ「1台減らすのがおすすめ」と強調する。
■タイミング合えば買い替えも一手
家電の省エネ性能は年々進化しているため、故障などタイミングが合えば買い替えも一手。環境省のウェブサービス「しんきゅうさん」が役に立つそうだ。
購入年やメーカーを入力すれば、家電5種の新旧の年間電気代などの差が一目瞭然。同容量の冷蔵庫で1999年製と2018年製を比べると、18年製が約1万6千円安くなる試算だ。
電気や冷暖房の使い方などから家庭全体の省エネ度を診断し、節約術も指南してくれる「うちエコ診断」のサービスもある。
節電術は多いが「我慢したり、無理したりするものはストレスになり続かない」と浅利さん。「『使わない』ではなく『効率よく使う』というように、できる範囲で続けることを心がけて」と話していた。