西大寺会陽 3年ぶり有観客に 「地押し」公開 争奪戦は見送り

3年ぶりに公開されることになった、裸衆が境内を練り歩く「地押し」=2020年2月15日

 西大寺観音院(岡山市東区西大寺中)を舞台とする裸祭り「西大寺会陽」(国重要無形民俗文化財)の奉賛会は6日、来年2月18日に行う会陽について、3年ぶりに観客を入れ、裸衆が境内を練り歩く「地押し」などを公開すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため裸衆による宝木(しんぎ)争奪戦は3年連続で見送る。

 奉賛会によると、今回の祝い主は創立70周年を迎えるRSK山陽放送(岡山市北区天神町)、創業100周年となる銘建工業(真庭市勝山)がいずれも初めて務める。宝木は午後10時、祝い主の関係者だけが上がる本堂大床に投下し、祝い主に直接授ける形を取る。前年と同様に福男は選ばない。

 地押しは午後7時半から実施する。裸衆は観音院の仁王門付近に集まった後に冷水で身を清め、境内を巡って本堂西側にある四本柱の周辺で地面を踏み固める。参加は地元で呼びかけるほか、インターネットの専用フォームなどでも募る方針。当日はマスク着用といった感染対策を求める。

 地押しの前には会陽甚句の演舞、太鼓、冬花火の打ち上げを予定。観覧席のほか、争奪戦開催時には立ち入りができない境内も観客に無料開放する。宝木を作る道具を手入れする「会陽事始め」(1月30日)といった関連行事も実施する。

 西大寺会陽は室町時代の1510(永正7)年に始まったと伝わる。争奪戦はコロナ禍で2021年に初めて中止し、22年も行わなかった。例年は裸衆約1万人が参加し、観客約3万人が訪れる。

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