災害の教訓再確認 蒲原沢土石流災害から26年 防災強化へ誓い 糸魚川市

 糸魚川市と長野県小谷村の県境で発生した「蒲原沢土石流災害」から26年がたった6日、米田徹市長と竹田健一消防長が同市大所の現場近くに立つ災害慰霊碑を訪れた。犠牲になった人々の冥福を祈り、防災、減災への誓いを新たにした。

「蒲原沢土石流災害」の慰霊碑に花を供え、犠牲者の冥福を祈った米田市長(糸魚川市大所)

 災害は平成8年12月6日、「7・11水害」(同7年7月11日発生)の復旧工事が行われていた現場で発生。同市や県外から工事に従事していた作業員ら14人が大規模な土石流に巻き込まれて尊い命を失った。
 米田市長は毎年欠かさずに同日朝、慰霊碑献花に訪れている。冬の寒さとともに巡ってくるこの日に、「かなりの月日がたつが、ここへ来るとタイムスリップしたようにあの時に戻る。土石流の痕しか見えない悲惨な状況だった。こんな災害が起こるなんて、本当に驚いた」と沈痛な面持ちで当時を振り返った。「尊い命がなくなった。二度と起こらないように」と花を手向け、哀悼の意をささげた。
 同市では今年2月に住民1人が犠牲となった島道雪崩災害が発生した。米田市長は「自然災害は計り知れないことが起きると感じている。最大限の防御をしていかなければならない。市民と再確認して情報共有をしていきたい」と話した。
 慰霊碑は災害の教訓を風化させず、後世に伝えるため国道148号の国界橋橋詰に建立された。犠牲者の名前と災害の概要を記した碑文が刻まれている。昨年、国土地理院の「自然災害伝承碑」に登録された。

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