「先生とのお別れはいや」園児受け入れ再開も転園相談相次ぐ…逮捕の元保育士「コロナ禍で業務量増でストレスが…」=静岡・保育士園児虐待事件

園児に対し、虐待行為を繰り返した疑いで当時の女性保育士3人が逮捕された事件で、静岡県裾野市の「さくら保育園」は12月6日から、園児の受け入れを再開しました。しかし、裾野市には、保護者から転園についての相談が相次ぐなど、保育現場への影響が心配されます。

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<廣田昭由記者>

「時刻は午前8時半すぎです。きょうから受け入れを再開したさくら保育園に園児が続々と登園しています」

裾野市の「さくら保育園」で、当時の女性保育士3人が1歳児クラスの園児に対し、顔を押す、宙づりにするなどの暴行を加えた疑いで逮捕されました。園は、警察の家宅捜索を受けたことなどから、12月5日臨時休園していましたが、6日朝から受け入れを再開しました。

受け入れを再開したさくら保育園

<保護者>

「(保育園の)中に入れば子どものケアはちゃんとして下さっている。先生たちが心配なくらい頑張ってくれている」

Q保育士の様子は?

「普通です」

Q逮捕を受けてどんな話はしていたか?

「そこはしていなかった」

カメラに向かって複雑な気持ちを伝える園児もいました。

<4歳児クラス(5歳の)女児>

「先生とお別れはいやだ」

<女児の母親>

「お別れ、いやだよね。みんなともバイバイするのは嫌だよ。保育園がなくなっちゃうかもしれないから、みんなとバイバイがいやなんだよね」

このままでは、保育園がなくなるのではないかと、5歳の園児が心を痛めるさくら保育園の状況。裾野市によりますと、12月2日から5日までに預けるのが不安、園に対する不信感などを訴えて、およそ10件の転園についての相談が寄せられていているということです。

さくら保育園に通うことへの不安を訴える保護者の声を受け、裾野市は6日、保護者全員に通知を出しました。希望があれば、一時的に別の保育園などへの転園を受け入れる方針を示しました。

<裾野市 村田悠市長>

「このような事件があった後ですから、違うところに預けたいという親御さん、お父さんお母さんの声がありましたので、市として受け入れ体制を整えていこうというのが、今回の狙いであります」

保育現場での虐待事件、国も強い危機感を抱いています。

<加藤勝信厚労大臣>

「子どもの安全安心が十分に配慮されなきゃいけない場所でもあるにもかかわらず、このような事案がおきたこと、あってはならない。誠に遺憾であります」

加藤厚労相は全国の保育施設や自治体を対象に虐待に関する情報への対応状況を調査する考えを明らかにしました

一方、徐々に事件の背景がみえてきました。園児の頭を殴った疑いで逮捕された元保育士(39)と接見した弁護士によりますと、新型コロナの影響で気を遣うことや、業務量が増えたことでストレスを感じていたと話していることが分かりました。

暴行容疑については、園児の検温をする際、園児が遊具に上ろうとして危険だったので、体温を記録するためのバインダーで叩いてしまったと説明しているということです。

元保育士は容疑を認めた上で、「園児への暴行はこの一回だけ、いま考えれば軽率な行動で、園児と保護者に本当に申し訳ないことをした」と謝罪しているということです。

警察は、園の関係者に話を聞くなどし、元保育士の勤務状況なども含めて捜査を進める方針です。

さくら保育園側はさきほど、園長が体調を崩し、救急搬送されたと発表。園側は5日時点で園長の交代に向けて手続きに入っているとしています。

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