ヤングケアラー支援へ条例案、県議有志が来年3月提出へ

栃木県議会議事堂

 家族など身近な人の介護や世話を担う「ケアラー(介護者)」の支援に向け、超党派の栃木県議有志が議員提案による条例案を、来年3月通常会議に提出する方針であることが6日、分かった。若年層の「ヤングケアラー」が社会問題となる中、支援人材の育成や学校などへの助言を県の責務として掲げ、県民・事業者には支援に協力する努力義務を盛り込む。来年4月の施行を目指す。

 条例案は、県議会最大会派のとちぎ自民党議員会の政務調査会メンバーが中心となり、当事者や有識者らの聞き取りなどを経てまとめた。

 ケアラーが個人として尊重され、孤立しない地域社会の実現を目的に掲げ、県が主体的に問題に関わるように求める。市町や関係団体と連携して支援に関する総合的な計画を策定し、施策を講じることを県の責務としたほか、ヤングケアラーについては学校と緊密に連携し早期発見につなげることや、当事者が相談しやすい環境の整備を促す。

 事業者には、従業員がケアラーであると分かった際に勤務上で配慮することなどを呼びかける。

 県が問題の周知や支援の機運醸成に取り組む必要性も明記。本年度の県政世論調査では、ヤングケアラーという言葉について「聞いたことがあり、内容を知っている」との回答は52.1%にとどまっていた。

 一般社団法人地方自治研究機構によると、10月現在、北海道と茨城、埼玉、長崎の4道県に加え、今年3月に施行した那須町を含む全国9市町でケアラー支援条例を制定している。

 県が本年度行ったヤングケアラーの実態調査では、「世話をする家族がいる」との回答が小学生で12.0%、中学生で8.2%、高校生で5.0%に上った。

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