すぐ駆け付ける仕事ぶり…談合容疑の市職員、経験豊富で入札24件担当 贈賄側で時効の業者、過去にも落札

三郷市役所=三郷市花和田

 埼玉県三郷市が発注した配水場施設工事を巡る汚職事件で、贈賄側の業者が、2020年6月にも別の工事(契約額973万円・税込み)で落札していたことが6日分かった。落札率は98.33%だった。

 同市によると、官製談合防止法違反と加重収賄の疑いで逮捕された市水道部施設課主幹兼施設係長の宮城真司容疑者(51)は、解散した県水道協会の元職員で当時、三郷市の水道事業を担当していた。市幹部は同容疑者の仕事ぶりについて「知識や経験が豊富で頼りになる職員。漏水などもすぐ駆け付け、一生懸命仕事に取り組んでいた」と話した。

 宮城容疑者が、担当した入札事業は施設係長に昇進した18年4月から今年11月までの約5年間で24件。うち事件となったのは18年8月の配水場機械設備の更新工事に関する一般競争入札だった。贈賄側の業者の容疑は時効が成立。

 県警は同日午前、宮城容疑者を官製談合防止法違反と加重収賄の容疑で、さいたま地検に送検した。

 木津雅晟市長は同日、会期中の本会議の議場で、出席した議員を前に謝罪。事件の概要と今後の市の対応などを報告した。それを受け、正副議長が、事件の全容把握や再発防止の徹底について市に要請。今後、議会として対応を検討することにしている。

 同市などによると、宮城容疑者は14年4月に市に技術職で中途採用され、水道部施設課に配属。18年4月に施設係長として企画設計など業務全般を総括。同課の入札業務も担当するようになり、予定価格を知り得る立場にいたという。

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