住宅をリフォームするタイミングは、どのように決めるべきなのか?

時間とともにモノは劣化していくように、購入した住宅もいつまでも新居の状態ではありません。では、どのタイミングでリフォームを考えるべきなのでしょうか?

テレビ東京「カンブリア宮殿」にも出演したリフォーム会社・さくら住宅創業者の二宮生憲 氏の著書『新版 住宅リフォームを考えたら必ず読む本』(あさ出版)より、一部を抜粋・編集してリフォームすべきタイミングについて解説します。


「リフォームすべきタイミングはありますか?」

よくあるのが住まいの不便に我慢できなくなったとき

家族のコミュニケーションを取り戻した例

いずれリフォームをしたいと思っていても、「いざ」となるとなかなか決断できないものです。しかし設備機器が故障すれば、その修理にともなうリフォームはすぐに決断ができます。

なかなか決断しにくいのは、リフォームをすればよくなるのはわかっているものの、 「現状維持でも、まあ何とか無難に暮らせる」 状況だからです。それでも思い切って決断し快適な暮らしを手にした例を紹介しましょう。

まず生活が一変した例。A様のリビングルームの床はギシギシと音がして、さらに寒くて暗いので家族は皆集まらず、それぞれの部屋にこもっている状況でした。そこで、 なんとかリビングルームに家族が集まるように工夫しよう となりました。まず最初に、暖かくするために思い切ってこの部屋を床暖房にすることに。そして少しでも明るい雰囲気にするために壁のクロスを張り替え、窓辺のカーテンも明るい色でコーディネートしました。

工事が終わったある日、今まで食事が終わるとすぐ自分の部屋にこもっていた家族がリビングルームの椅子に、あるいはカーペットに置かれたクッションにもたれて話がはずんでいるのです。今までの暮らしがウソのようです。家族のコミュニケーションを取り戻した例ですが、「床暖房と、クロスの張り替え、カーテンの交換をしただけなのに、家族の気持ちが一つになれてうれしい」とのこと。この仕事をしていて、本当によかったと思いました。

設備機器の交換だけで家族の問題がスッキリ解決

もう一つ、設備機器の交換でこんな例がありました。N様のお宅の赤ちゃんはお風呂に入れるといつも泣いてしまうので、ご家族は困っていました。

N様の家は古い建物で浴室は暖房もなく、最初に入る人はかなり寒い。特別にどこが傷んだというわけではないので、今までリフォームなど考えていなかったのです。

しかしシステムバスにして、浴室暖房乾燥機も入れたところ、今まであれほど泣いていた赤ちゃんがお風呂で笑ったとのこと。これは、リフォームで快適な暮らしが提案できた、よい例です。

「どの時期」に「何をするか」の目安

弊社は一般的に次のような目安でリフォームの時期を決めています。

入居5年から10年 で内装(壁紙など)の点検をします。この程度は、専門家に頼まなくても汚れや傷など、素人目にもわかります。汚れや傷があったら、そのときに手を入れることです。

次に 約10年から15年 で設備の点検。一般に設備は10年が限界といわれています。専門家にチェックしてもらい、手入れをして使えるものなら手入れをし、買い換えるならば、機種選びをします。最近では驚くほど速いサイクルで新しい便利な機種が登場しますから10年はよい目安でしょう。

15年 経てば、ドアの開閉が重くなったり、床がギシギシ鳴ったり、建物の構造にかかわる問題を感じるようになります。もちろんこの時期には、専門家にチェックしてもらいリフォームの計画を立てます。

住み手自身が、住まいに気を配ることが長持ちの秘訣です。

まずはイメージをかため、リフォーム会社を探す

ではリフォームをしたいと思い立ったら最初に何をすればよいでしょうか?

まずはどこをどんなふうにリフォームしたいかをはっきりさせます。不便なこと、困っていること、何でもよいですから、やりたいことは自分だけでなく家族と話し合い、 全部書き出してみましょう。

たとえば耐震補強をしたいのか、水廻りを新しくしたいのか、家族の構成が変わったので間取りを変更したいのか……さまざまな目的があります。目的を明確にしてリフォームする理由や優先順位をはっきりさせることが大切です。

次に依頼したいリフォーム会社を探します。

近所のリフォーム会社のチラシや広告も目にすることと思いますが、価格だけではなく、会社の評判を友人や知人に聞くことも大切です。その結果、ある程度、自分の希望条件に合いそうだと思ったら、思い切って「相談したい」と電話します。

最初にリフォーム会社の人に会うときは、 自宅に来てもらうのではなく、依頼する先の会社に行きましょう 。会社の雰囲気、社員の対応等、いろいろ得ることがあるはず。要望をまとめたメモを見ながらリフォーム会社に伝えます。メモや口頭での説明だけでは、プロといえどもリフォームの詳細などイメージが湧かないのが普通です。簡単にすぐ答えが出てはこないでしょう。きちんとした会社なら、おそらくその場でいい加減な返事をせずに、実際に見ないとわからない部分は、「 後日、実際に見てお答えします 」と言うはずです。

もしも 現場を見ないで金額を提示するのであれば、その会社は要注意 。なぜならリフォームは現場を見てどのような状況なのかを確認しないと簡単には金額は出せないからです。

自分とリフォーム会社との相性がよいかどうか

その段階でそのリフォーム会社との相性がわかると思います。遠慮せずに自分の希望を全部伝え、そして誠実な答えが返ってきたら、会社を選ぶ条件が一つ満たされたことになります。担当者の説明が、 専門用語などが頻繁に使われてわかりにくいのは問題 です。きちんとお互いに理解し、確認しながら進めないと、満足のいくリフォームはできません。

工事中はもちろん、工事後何年か経過して問題が出たときに 敏速な対応が可能か ということも大切です。相談したからといって、必ずしもその会社に依頼しなければならないとは限りません。お互いに信頼できる間柄を確立して、末長い付き合いができることがポイントです。

そのためにもこれからの住まいの状態を相談する相手を見極め、自分と相性のよい相手を見つけてください。

大切な住まいをどのようにしたら長く快適に住めるか、一緒に考え見守ってくれる「住まいのかかりつけ医」のような存在が理想です。

「中古住宅を購入してリフォームしたいのですが?」

住宅費に加えリフォーム費用がかかることを知る

予算がオーバーすることもある

最近は新築住宅(いわゆる建売や新築マンション)の高騰が著しく、若い方々が住宅を購入しようとしてもなかなか難しい場合が多いようです。そのような方は、次に中古住宅を探し始めます。

弊社に相談があるのは、そんな状況の中ですでにご自分で申込金や手付金を支払ったあとで、「これはちょっと……」と思われた場合で、そのような相談の件数も増えています。年齢の高い方より若い方が多いのも特徴的です。若い方は不動産と住宅の知識があまりなく、家の現状を見たその感じだけで手付金などを支払われることが多いからです。

中古住宅を購入すれば、当然のようにリフォームをする方が多いですが、ほぼ予算通りか不動産会社の担当者と打ち合わせていたリフォーム費用をオーバーします。

なぜでしょうか。それは、不動産会社の営業担当者が建築のことをほとんど知らないかわからないからです。中古で購入する場合は基本的にチェックする項目すらわからない方がほとんどです。

若い方は、中古でも20~30年のローンを組んで購入する方が多いので、住宅ローンを払うことに加え、リフォーム費用まで多くかかると、金銭的にとても大変な生活になります。

設備の修理や交換が必要になる

家は中古であれ新築であれ、買った時点から劣化が始まると考えてください。住宅の設備などが故障や耐用年数を過ぎて交換が必要になるのは10年位です。

いちばんわかりやすく説明できるのは給湯機器です。メーカーの耐用年数は使い方でも違いますが、7~10年が標準です。

さらにはインターフォン、ウォシュレットなども住宅部材でいえば消耗品にあたります。10~15年位の間に交換するケースが多い部材です。

網戸や水栓、その他にも、徐々にではありますが入居時に気がつかなかったところや予算がなくあとでと考えていたところの故障が、中古の場合、新築よりも早い段階で起きるのが通常です。

マンションと比較すると一戸建てのほうがこのケースがたくさんあります。それを少しずつ修理させていただくのがリフォーム会社の役目です。

マンションは管理会社の力が大きい

一昔前は一戸建ての場合は建てた大工さんがやってきて、お金ができるだけかからないように少しずつ手を入れてくれていました。それくらい大工の棟梁は力があり、自分で建てた家に誇りをもっていました。

今そのような方を探すのはほとんど不可能に近くなりました。マンションではそれを作った会社が少しはやっていましたが、修理等はほとんどやってくれません。

マンションの場合は管理会社の力が大きいです。きちんとした管理会社は、いろいろな業者とのつながりの中で不具合が小さなうちに少しの金額で修理をしてくれます。そのような管理会社がいちばん頼りにされます。

若くして家をもつということはいろいろな大変さがありますが、思いがけない費用が突然かからないように、購入するときにはご両親や建築関係の信頼できる方に相談することがいちばんです。

著者:二宮 生憲

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