電気代は1年で3,000円以上も値上がり…一番電気代が高い冬にやっておくべき節約法

原油高騰、ウクライナ侵攻、インフレ、円安……。2022年、さまざまなできごとの影響を受けて値上がりした電気代は、これからも値上がりが見込まれます。冬は一年で一番電気代が高い季節ですから、家計が心配な方も少なくないでしょう。そこで今回は、電気代が高い冬にやっておくべき節約法を解説します。


■電気代の高騰はこれからも続く

電気代は、値上がりを続けています。東京電力が毎月発表している「燃料費調整のお知らせ」によると、平均的な使用量の家庭(平均モデル:従量電灯B・30A、使用電力量260kWh/月の場合)の1か月の電気代は、次のようになっています。

●東京電力「平均モデル」の電気料金比較

東京電力「燃料費調整のお知らせ」をもとに(株)Money&You作成

2021年と2022年の電気代を比べれば一目瞭然、明らかに2022年の電気代のほうが高くなっています。また、2022年9月以降は電気代が9,126円で固定されています。東京電力の場合、2022年9月以降の電気代(家庭向けの規制料金)は、燃料費調整額(燃料価格や為替レートの変動を電気代に反映させる金額)が上限に達したためです。東京電力だけでなく、全国の大手10電力会社すべてがこの上限に達しました。

それならば、これ以上電気代は上がらないのかといえば、そんなことはありません。電力会社各社は、家庭向けの規制料金の引き上げを国に申請しています。その引き上げ幅は、
・東北電力 32.94%引き上げ
・中国電力 31.33%引き上げ
・四国電力 28.08%引き上げ
・沖縄電力 43.81%引き上げ
となっています。

さらに今後、東京電力や北陸電力も値上げ申請を検討しているそうです。

政府は2023年1月分〜9月分までの電気代を2割引き下げる補助を行いますが、それだけではこの値上がり分を吸収できないことになります。

■電気代がもっとも高いのは3月

総務省「家計調査」をもとに、2021年1月〜2022年9月の電気代の推移(平均)をまとめると、次のようになっています。

●各月の電気代の推移(平均)

総務省「家計調査」をもとに(株)Money&You作成

2021年を見ると、電気代がもっとも高いのは3月。1月〜3月は、総じて電気代が高いことがわかります。2022年も同様に現時点では3月がもっとも高いのですが、1年間で3,000円以上も値上がりしていることがわかります。

反対に、電気代がもっとも安いのは7月ですが、その7月でさえ2021年から2022年で1,800円近く値上がりしています。

これから本格的な冬を迎え、さらに電気代が上昇していくとなると、家計が苦しくなることは目に見えています。

■電気代は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」からできている

電気代節約にあたって押さえておきたいのが、電気代の内訳です。電気代は、基本料金・電力量料金・再生可能エネルギー発電促進賦課金の3つからできています。

基本料金は、電力会社との1契約あたりの料金です。基本料金は契約アンペア数で決まり、電気を使う・使わないに関わらず、必ずこの料金は支払う必要があります。

●東京電力エナジーパートナーのアンペア・料金・ブレーカーの色

(株)Money&You作成

電力量料金は、使用する電気の量によって変動する料金です。計算式は「電力量料金=1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)±燃料費調整額」となっています。電力量料金は、「1kWh」を基本の単位として単価が設定されています。

そして、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのいずれかで発電した電力を国が一定価格で買い取るものです。この買い取りに必要な費用は、電気を使う人が使用量に応じて負担します。2022年5月分から2023年4月分までの単価は1kWhあたり3.45円です。

■電気代を節約するには「基本料金」「電力量料金」を抑えることが大切

自力で電気代を抑えるためには、「基本料金」と「電力量料金」を抑えることが大切。基本料金と電力量料金を抑えるには、電気の購入方法を見直すことが有効です。

たとえば、電気とガスを同じ会社から購入する「セット割」を活用すると、電気代・ガス代を節約ができる場合があります。東京ガス「基本プラン・ずっとも電気3」の場合、戸建て3人世帯で年1万200円の電気・ガス代の節約につながります。関西電力「なっとくパック」でも同様で、電気・ガスの同時契約で年1万500円の節約につながります。

経済圏を活用することでも電気代がお得になります。ドコモ経済圏の「ドコモでんき」では、電気代の最大10%(ドコモでんきGreen:ドコモ回線契約あり・dカードGOLD会員の場合)のdポイントがもらえます。またau経済圏の「auでんき」では、auのスマホ・auひかりのユーザーが利用すると毎月の電気代に応じて最大5%のPontaポイントを貯められます。対象のドコモやauのスマホなどを利用しているならば、十分に検討の余地があるでしょう。

さらに、電気代をクレジットカード払いにしてお得にできないかをチェックしましょう。電気代もクレジットカード払いすることでポイントがもらえます。ただし、銀行の口座振替割引がある電力会社の場合、支払う金額によっては口座振替の方がお得になる場合もあります。

たとえば東京電力の場合、口座振替を利用すると電気代が毎月55円(税込)、年間660円の割引が受けられます。したがって、還元率1%(100円ごとに1ポイント)のクレジットカードを利用する場合、電気代が5500円以上であればクレジットカードで支払った方がお得になります。全体的に電気代が上がっている以上、クレジットカード払いでお得になる人も増えているはずです。

また、基本料金を見直すために、契約アンペア数の変更ができないかを検討しましょう。たとえば、契約アンペア数を50Aから40Aにすると、毎月286円、1年で3,432円の節約になります。契約アンペア数は「電気料金のお知らせ」にも記載がありますが、ブレーカーの色でもわかります。

ただし、契約アンペア数を小さくしすぎると、消費電力の大きい家電製品を同時に使った場合などに、ブレーカーが落ちてしまうので要注意。普段使う家電を考えて、無理のない範囲で小さくしましょう。

■電力量料金を抑える節電方法

普段の家電の使い方を見直して電力量料金を抑える節電方法を紹介します。いずれも、冬に取り組むことで電気代が減らせます。

【エアコン】

エアコンの暖房は20℃を目安に

外気温度6℃の時、エアコンの暖房設定温度を21℃から20℃にした場合、年約1,410円の節約になります(エアコン2.2kW・使用時間:9時間/日)。

●エアコンのフィルタをこまめに掃除
月2回程度、エアコンのフィルタを掃除することで年約850円の節約になります。
●エアコンの風向きを下向きにする
暖かい空気は天井に溜まる傾向にあるため、暖房時のエアコンの風向きは「下向き」にしましょう。扇風機やサーキュレーターを部屋のすみで下向きに回して空気を循環させると、暖房の設定温度を下げても効率よく部屋を温められます。なお、冷房時も扇風機やサーキュレーターの使用は効果的。消費電力が低いため、電気代の節約につながります。

●寝る前はエアコンより電気毛布
寝る前にはエアコンより電気毛布を使った方が節電になります。寝る1時間ほど前につけておけば、布団や体をしっかり温めてくれます。

エアコンの暖房設定温度が20℃の場合、使用時間を1日1時間減らすことで、年約1,080円の節約になります。

●外からの冷気の侵入を防ぐ
部屋を効率よく暖めるためには、エアコンだけでなく、外からの冷気の侵入を防ぎ、熱を外に逃がさないことも大切。窓ガラスに隙間テープを貼る、遮熱カーテンや結露防止シートで窓からの放熱を防ぐといった対策も効果的です。エアコンの消費電力を抑えることにつながり、電気代の節約につながります。

【電気カーペット】

電気カーペットは広さにあった大きさにする
室温20℃、設定温度「中」の状態で1日5時間使用した場合、3畳用から2畳用にすると2,380円の節約ができます。

●電気カーペットの設定温度を「強」から「中」にする
3畳用の電気カーペットの設定温度を「強」から「中」にすると、年間で4,930円の節約につながります。

●電気カーペットの下に断熱シートやアルミシートを敷く
電気カーペットの熱は床から逃げてしまいがち。電気カーペットの下に断熱シートやアルミシートを敷くと、熱が床から逃げにくくなるため、暖かさが長持ちします。
電気カーペットを「弱」にしても暖かさが持続するようであれば、消費電力を抑えられることになり、電気代の節約につながります。

【冷蔵庫】

冷蔵室にものを詰め込まない
冷蔵室は冷気が噴き出す通気口と中心部を開け、ゆとりを持ってものを入れます。冷蔵庫にものを詰め込まないことで、年約1,160円の節約になります。それに、食材のロスの削減にも役立つでしょう。なお、冷凍室はものを詰めたほうが温度を保てて、節約につながります。

●季節に合わせて設定温度を調節する
冷蔵庫の周囲温度22℃のとき、冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にすると1,630円の節約になります。

●エアコン・冷蔵庫の買い替え
省エネ家電の買い替え効果を教えてくれるサイト「しんきゅうさん」によると、10年前(2011年)の製品より2021年の製品の方がエアコンで3,960円、冷蔵庫で4,590円〜6,210円得になるそうです。

【その他】

・使っていない電化製品のプラグを抜く:年約6,100円
・電気ポットで保温しない:年約2,900円
・電球をLEDランプに取り替える:年約2,400円
・炊飯器で保温しない:年約1,200円

※以上参考:「省エネポータルサイト」「家庭の省エネ徹底ガイド春夏秋冬」「家庭の省エネハンドブック2022」より

■政府からもらえる「節電ポイント」にも注目

経済産業省が10月に発表した新節電プログラムでは、電力会社の実施する節電プログラムに参加登録(2022年中)すると一律で2,000円分のポイント、さらに2023年1月〜3月の電気使用量を前年同月比で3%以上減らせた場合、さらに1ヶ月あたり1,000円分のポイントが付与される仕組みになっています。

節電プログラムは、たとえば
・北海道電力「ほくでん冬の節電プログラム」
・東北電力「冬の節電チャレンジキャンペーン」
・東京電力エナジーパートナー「TEPCO省エネプログラム2022」
・中部電力ミライズ「冬季節電プログラム」
・関西電力「冬の節電プロジェクト2022」
・中国電力「冬の節電プログラム」
・九州電力「九電節電プログラム」
などといったように各電力会社で用意されていますので、ぜひお使いの電力会社で実施しているかどうか、確認してみてください。

節電プログラムに参加登録するだけで2,000円分のポイントがもらえて、節電の結果次第ではさらに3,000円分、合計で5,000円分のポイントがもらえます。そして何より、節約することで電気代が減れば家計も楽になるでしょう。

■自治体によっては節電でポイントゲット

自治体によっては、節電することでポイントがもらえるサービスを展開していることもあります。

たとえば、石川県金沢市「令和4年度節電エコポイント事業」では、2022年12月〜2023年2月の冬季3か月間の電力使用量が前年同期間より削減できた場合、削減率に応じて最大2,000ポイントがもらえます。ポイントは市内の店舗で利用できます。

また、兵庫県神戸市で利用できるスマホアプリ「KOBEエコアクション応援アプリ「イイことぐるぐる」では、自宅や出かけ先でエコアクションを行うとポイントがたまります。エコアクションは節電だけでなく多岐にわたっており、たとえば毎月の電気・ガスの使用量を報告すると50ポイント、環境関連施設の訪問や環境イベントへの参加で50ポイント、日替わりのエコクイズの回答で10ポイント、エコクッキングの投稿で10ポイントなどとなっています。ポイントは、120社以上のポイントに交換可能です。

電気代がますます高くなりそうな冬に備えてできる電気代の対策をさまざまな方面から紹介してきました。電気代を安くできることを知っていても、行動しなければ安くはなりません。取り入れられる対策から一つずつ実施して、電気代高騰を乗り越えていきましょう。

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