被爆体験を若い世代に 広島の伝承者が講話 宇都宮・戸祭小

被爆の現実を語る伝承者の話に耳を傾ける児童たち

 【宇都宮】広島市の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館が派遣した被爆体験伝承者の講話が6日、戸祭小で行われ、6年生118人が原爆の悲劇と平和への思いを語る伝承者の語り口に耳を傾けた。

 宇都宮市がこの派遣制度を利用したのは今回が初めて。今月中に3小学校で講話を実施する。最初に行われた戸祭小では、広島市出身で東京都大田区、主婦浜田千恵(はまだちえ)さん(49)が、14歳の時に被爆した国重昌広(くにしげまさひろ)さん(91)の体験を基に、原爆が落とされたその日の広島を生々しく語った。

 原爆の熱線で顔と左腕の皮膚が焼けただれた国重さん、顔が分からないほど焼け焦げて死んだ国重さんの友人の話に及ぶと、児童たちは水を打ったように静まりかえって話に聞き入った。

 「核兵器は人間が作り、人間が人間の上に落とした。人間がなくすこともできると思っている」。浜田さんは講話をこう締めくくった。「広島平和記念資料館に行ったことがある」という安田明誠(やすだあきのぶ)君(12)は「自分が想像していたよりも恐ろしい状況だと分かった。戦争は絶対にいけないと思った」と話していた。

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