「犠牲者 決して社会に戻れない」 岡山で交通事故遺族が無念さ訴え

悲惨な交通事故の撲滅を訴える則竹さん

 犯罪被害者遺族の思いを伝える講演会が7日、岡山市北区津島京町の岡山商科大であり、当時小学4年の次男を交通事故で亡くした則竹崇智さん(52)=愛知県一宮市=が突然、家族の命を奪われた悲しみを語った。

 9歳だった次男の敬太君は2016年10月、学校からの帰り道にある横断歩道上でトラックにはねられた。運転手はスマートフォンでゲームをしながら運転していた。則竹さんは、家族でキャンプに行った写真などをスライドで紹介し「本当ならもっと写真が増えているはずだった。加害者はいつか社会に戻れるが、犠牲者は決して戻れない」と話した。

 水筒や靴といった愛用品を手に取りながら「敬太の命を救えるなら、自分の命を差し出してもいい。生きていてほしかった」と無念さも訴えた。

 同大3年男子学生(21)は「遺族のつらさが痛いほど伝わってきた」と話した。

 岡山県警が主催し、犯罪被害者支援ボランティアに携わる同大の学生ら約90人が聴いた。

© 株式会社山陽新聞社