高校生失明事件きっかけの沖縄署襲撃騒動、少年ら7人を書類送検へ 県警、集団的器物損壊の容疑

 今年1月27日深夜から翌未明にかけて、沖縄市山里の沖縄署周辺に数百人の若者らが詰め掛け、一部の若者らが石や物を庁舎に投げ付ける襲撃騒動となった件で、沖縄県警は一両日中にも、庁舎のガラスや警察車両を破損したとして、少年7人(いずれも当時10代)を暴力行為法違反(集団的器物損壊)の容疑で那覇地検に書類送検する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。少年らは大筋で容疑を認めているという。
▼【動画】若者ら数百人 投石、爆竹…深夜の沖縄署で騒然
 襲撃騒動は今年1月、沖縄市宮里の路上で沖縄署に勤務していた男性巡査(30)とバイクで走行中の男子高校生(17)=当時=が接触し、高校生が右目を失明する重傷を負った事案が起因となった。
 巡査は11月、職務執行などに問題があったとして特別公務員暴行陵虐致傷容疑で書類送検された。 
 さまざまな情報が交流サイト(SNS)で拡散され、集まった若者らの中には「失明させられた。やり返せ」「巡査もばちみかさんと」など警察の事件対応への不満や疑念を抱く少年もいた。一部の若者らは生卵や花火、石などを庁舎に投げ入れ、ドアや電光掲示板、車両などを損壊。被害総額は約400万円に上った。同署は機動隊に出動要請するなど対応に追われ、翌28日昼過ぎまで、施設内への一般の立ち入りを規制し、窓口業務を停止するまでに至った。
 県警は事案発生当初から同署に詰め掛けた複数の少年らから任意で話を聞くなどし、SNS上の情報や現場で撮影した動画の解析などを実施。少年らの行為と被害の因果関係の立証を進めてきた。
 関係者によると、署の周辺に集まった若者らの大半は10代の少年らで、中・高校生も多く本島北部や南部からも集まっていた。SNSのライブ配信などを介して集まった傾向が強く、若者の中には、暴力団関係者とみられる人の姿もあったという。
 騒動を受け、インターネット上では「騒ぎにならなければ警察はもみ消していたはずだ」などと、騒動に参加した少年らを擁護するコメントが見られた。一方で「沖縄は猿の巣窟」「沖縄の所得と教養レベルが低くて民度の問題です」などと、蔑視するコメントも多く並んだ。
 
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