「高病原性」の鳥インフル、検出なしに生産者ら安ど「出ないこと祈っていた」 対策に気を引き締め

 沖縄県うるま市内の野鳥の死骸から検出された鳥インフルエンザウイルスが致死率の高い「高病原性」ではなかったことを受け、県内の自治体関係者や生産農家からは安堵(あんど)の声が上がった。一方、全国的に養鶏場での感染や殺処分の事例が相次いでいることから、継続的な対策が欠かせない。

 県によると、県内で飼養されている家禽(かきん)は2021年時点で採卵鶏が137万羽、ブロイラー(肉用鶏)が約39万羽。県外で感染事例の報告が相次ぎ、県は11月から家禽農家に対してウイルスの消毒に効果があるとされる消石灰の配布を始めていた。その矢先にうるま市で野鳥の死骸が見つかり、3キロ圏内にある養鶏場9戸(400羽)に対して消石灰を優先配布した。

 うるま市は、発生地から3キロ圏内の鳥を飼育している養鶏家に対し、鳥に異常などがあった場合、連絡するように注意喚起している。

 同市にある徳森養鶏場のノーマン裕太ウエイン代表は、高病原性ではなかったことに「何も出ないことを祈っていた」と安堵した。

 鶏舎では石灰の散布に加えて、防鳥ネットを設置し人の出入りを必要最低限に減らす考え。「沖縄は本土から離れているから大丈夫だと思わないようにしたい」と気を引き締めた。

 県自然保護課は渡り鳥の飛来シーズンであることや、野鳥の高病原性ウイルス陽性が7日現在、14道県で93件確認されていることなどから「全市町村に情報提供を改めて呼び掛けている。情報が入れば検査を速やかに行っていく」とした。

 (當山幸都まとめ)

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