2022年11月の全国企業倒産581件

倒産

11月の倒産 8カ月連続で前年同月を上回る、中堅企業の倒産が徐々に増加

 2022年11月の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が581件(前年同月比13.9%増)、負債総額は1,155億8,900万円(同22.8%増)だった。
 件数は、11月としては3年連続で600件を下回ったが、 4月から8カ月連続で前年同月を上回り、低水準ながら増勢が鮮明になってきた。件数が8カ月連続で前年同月を超えるのは、2019年9月から2020年4月以来の2年7カ月ぶり。
 負債総額は、2カ月ぶりに前年同月を上回り、11月では2年ぶりに1,000億円台に乗せた。小・零細企業を中心に推移するが、負債1億円以上5億円未満が116件(前年同月112件)、同5億円以上10億円未満が23件(同15件)、同10億円以上の大型倒産が17件(同13件)と徐々に中堅企業の倒産も増加している。
 「新型コロナウイルス」関連倒産は、214件(前年同月比22.9%増)で、3カ月連続200件台で推移している。2020年2月からの累計は4,508件に達した。

企業倒産月次推移
  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が34件(前年同月41件)
  • 形態別件数:破産が531件。法的倒産の構成比は過去最高の98.79%
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが25都府県、減少17道府県、同数5県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比73.1%、3カ月連続で70%台に
  • 業種別件数:道路貨物運送業、老人福祉・介護事業、飲食業などが増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が88.6%、300人以上は2カ月連続で発生せず
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は2カ月連続で100.0%

産業別 10産業のうち、8産業で前年同月を上回る

 2022年11月の産業別件数は、小売業と金融・保険業を除く8産業で前年同月を上回った。
 最多はサービス業他の178件(前年同月比13.3%増)で、3カ月連続で前年同月を上回った。このほか、建設業が99件(同12.5%増)で6カ月連続、製造業69件(同7.8%増)と卸売業74件(同2.7%増)が4カ月連続、運輸業30件(同42.8%増)と情報通信業25件(同47.0%増)が2カ月連続、不動産業が23件(同27.7%増)で3カ月ぶり、農・林・漁・鉱業が19件(同216.6%増)で2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 農・林・漁・鉱業は9月の12件を超え、不動産業は6月・7月に並び今年最多となった。
 また、農・林・漁・鉱業(1-11月累計81件)、建設業(同1,085件)、運輸業(同288件)、情報通信業(同221件)の4産業は、2021年(1-12月)の件数を上回っている。
 一方、金融・保険業は1件(前年同月2件)で4カ月連続、小売業は63件(前年同月比3.0%減)で3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

産業別倒産
産業別倒産件数推移

地区別 倒産件数、9地区のうち5地区で増加

 2022年11月の地区別件数は、9地区のうち5地区で前年同月を上回った。
 関東232件(前年同月比31.8%増)が、7カ月連続で前年同月を上回った。このほか、九州48件(同26.3%増)が5カ月連続、中国26件(同62.5%増)が3カ月連続、四国10件(同66.6%増)が2カ月連続、北陸16件(同33.3%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、北海道14件(同6.6%減)が9カ月ぶり、中部70件(同6.6%減)が4カ月ぶり、東北23件(同11.5%減)が3カ月ぶり、近畿142件(同2.7%減)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

富士たまご(株)/静岡県/鶏卵生産/119億9,100万円/会社更生法 ジェミック(株)/東京都/医療機器卸/95億5,900万円/破産 イセファーム東北(株)/宮城県/養鶏業/77億6,900万円/民事再生法 (株)セントラルシティ/兵庫県/不動産売買ほか/55億円/破産 (株)かすみがうら農場/茨城県/養鶏業/52億3,400万円/民事再生法

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