辺野古埋め立て承認撤回、沖縄県の上告を棄却 最高裁 国交相の裁決取り消し求めた抗告訴訟

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は8日、県の上告を棄却した。中身に踏み込まずに県の訴えを退けた二審福岡高裁那覇支部判決が確定した。
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 2013年12月、当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認。その後、埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったことなどを受け、県は18年8月に承認を撤回した。沖縄防衛局は、本来は国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を使って審査請求を行い、国交相は19年4月に県の撤回を取り消す裁決をした。
 20年11月の一審那覇地裁判決は、県の訴えについて「自己の利益や権利保護を求めるものではない」とし、裁判所の審理対象にならないとした。裁決が適法かどうかの判断は示さなかった。昨年12月の二審福岡高裁那覇支部判決は県に原告となる資格がないとし、一審判決の結論を支持した。

 承認撤回を巡っては、県は地方自治法に基づき、国交相裁決は違法な国の関与だとする「関与取り消し訴訟」も提起したが、20年3月に敗訴が確定した。そのほかに辺野古周辺の住民らも国交相裁決取り消しを求める抗告訴訟を起こし、福岡高裁那覇支部で係争中となっている。
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