値上げラッシュ、川崎の子ども食堂にも影響 仕入れ価格2割増え 「肉はどうしても鶏肉」

鶏肉を丁寧に焼き上げチーズを載せてあぶった定食を出す宮田さん(左)=川崎市中原区の子ども食堂「じぃーじぃーず」

 毎日朝昼晩と開店する子ども食堂「じぃーじぃーず」(川崎市中原区)には、この日も4人の子どもがわいわいと集まってきた。JR向河原近くの食堂を経営するのは、飲食業界に42年間身を置き昨年、独立した宮田明さん(61)。「定年を迎え、何をしようかと考え、子ども食堂にしようと決めた」。この店にも、昨年来の値上げラッシュが襲っていた。

 毎日、日替わりの主菜を一品用意し定食を整える。だしを取ったみそ汁には最低でも3品を入れると決めている。大根に油揚げ、豆腐。「おいしくて栄養も取れる温かい手料理を安く提供したい」と工夫を重ねてきた。

 しかし、と宮田さんは眉根を寄せる。

 「肉も野菜も値上がりしてて、だから肉はどうしても鶏肉だね」と苦笑い。食材の仕入れの価格はオープンの昨年11月から2割近く上がったという。

 18歳で飲食業界に入り、有名ホテルに店を構えるレストランチェーンで腕を振るった。60歳で定年を迎えるときには、料理人を束ねるチーフだった。

 定年となり今後を考えた。退職金で地方への移住も選択肢にあったが、積み重ねてきた人生の第2幕をどう描くか、と考えたとき道は決まった。

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