「これは絶対詐欺ですよ」 ATMで必死な形相に違和感 信用金庫職員のチームワークが女性救う

振り込みを止めた現場を示す青木睦季さん(左)と加藤良武さん

 すでに窓口のシャッターが閉まった信用金庫で、70代女性がATMに設置されている電話で助けを呼んだ。

 「100万円をおろせないのですが」

 11月9日午後4時10分ごろ、現金の照合作業中だった青木睦季さん(27)が駆け寄った。「息子のためにお金をおろしたい」。

 必死な形相の女性に青木さんは「おかしい」とピンときた。上司の加藤良武さん(50)に相談し、青木さんはATMで現金を引きだそうとする女性に説得を試みた。

 「これは絶対詐欺ですよ。交番に行きましょう」

 女性には息子を装う男から「妊娠させてしまった。中絶代100万円を弁護士に渡してもらえないか」といううその電話が来ていた。渋々ながら一緒に近隣の交番に向かった。その数十分後、青木さんらの勇気ある行動によって、女性の家を訪ねた男が逮捕された。

 翌日、救われた女性が笑顔で信用金庫に訪れた。加藤さんが「無事で良かったですね」と言い、青木さんも「前にいた職場では高齢の方への詐欺を止められなかった。自分が対応した人が被害に遭わずに良かった」と胸をなで下ろした。

 神奈川県警瀬谷署は1日、詐欺を防いだとして、横浜信用金庫瀬谷支店に感謝状を贈った。

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