【しぶマリ図鑑】ウツボ 天敵なし 海のギャング

ウツボ

 大きな口、頑丈なあご、鋭い歯で何でも食べ、陸に上がってさえ漁師にかみつくことも。フグの毒に対する耐性を持つ可能性を示す研究結果まであり、まさに天敵なし。“海のギャング”の異名にもうなずける。

 温暖な海の比較的浅い場所に生息する。夜行性で、岩陰など狭い隙間を好む生態に合わせて腹びれは退化。頭から尻びれまでが一体となった体はにょろりと長い。岩礁地帯の穴を模した筒の中から何匹も頭をもたげたり、体をゆらゆら揺らしたりする水槽には、現代アートにも似た独特の雰囲気が広がる。

 名前の由来は、弓矢を収めていた筒型の道具「靫(うつぼ)」に姿が近いとか、岩穴に潜む習性から空洞を意味する古語「うつほら」が転じて―など諸説ある。

 水玉模様を散らしたようなニセゴイシウツボ、シマウマに似た縦じまが入るゼブラウツボなど、しぶマリでは約10種類を飼育。岡畑巧飼育員は「口の中が黄色く、体の頭側と尾側で模様が変わるアデウツボなど、どの種類も個性豊か。見比べて楽しんで」と呼びかける。

 岡山県内唯一の水族館、玉野海洋博物館(愛称・渋川マリン水族館=しぶマリ)で飼育展示している生き物を紹介する。

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