【阪神JF/追い切り診断】2強の1頭にまさかの辛口「B」評価 「見えない形で尾を引いている」

■リバティアイランド

【中間調整】7月30日に新潟芝1600m戦でデビュー。ここでは3馬身差の圧勝を収めたが、着差や走破時計よりも「上がり3F31秒4」という驚異の末脚が大きな注目を集めることとなる。平坦かつ高速の新潟馬場とはいえ、古馬を含めてJRA史上最速タイの数字(過去の31秒4は千直のオープン・韋駄天Sで古馬ルッジェーロが計時)で、それをデビュー初戦の2歳牝馬が叩き出したのだから、素材は間違いなく世代トップクラス。当然次戦のアルテミスSでは単勝オッズ1.4倍という断然の1番人気に支持されたが、直線で馬群に包まれてしまい、ようやく外に持ち出して猛然と追い込んだもののラヴェルにクビ差2着という悔しい結果に終わってしまった。“本番”でのリベンジを期し、短期放牧を挟んで11月16日に栗東へ帰厩。当初はケアに専念し、23日に坂路で1F12秒5(馬なり)をマークしたのが中間の初時計だった。1週前追いは川田騎手が跨り、芝コースで準オープンを相手に併せ馬。いったん抜け出して相手の反撃を許したが、手応え優勢で併入としている。

【最終追い切り】CWで古馬オープン・アラジンバローズを追走。直線半ばで早々と抜け出してしまいフワッとする場面はあったものの、相手の盛り返しにしっかり気持ちを入れ直し、半馬身の先着としている。

【見解】帰厩後ややケアに時間を要したあたり、調整過程は至極順調とまでは言えない。先週、今週ともに早めに抜け出してから気を抜くシーンがあり、その点も気になるところ。準オープン馬、オープン馬相手の併せ馬4本消化で体調面は問題なさそうに見えるが、集中力の面でブレが出てきているのかもしれない。前走の惜敗が目に見えない形で尾を引いている可能性がある。

総合評価「B」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)●フリーライター
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。現在、UMAJIN.net「競馬サロン」においては毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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