投票マッチングから見た2回の品川区長選 候補者の争点と世論の関心にはズレ

2回の選挙戦にもつれ込んだ品川区長選で、選挙ドットコムは東京青年会議所品川区委員会と共同で作成した「投票マッチング」を実施しました。再選挙は立候補者数が同数となり、再々選挙となる可能性がささやかれましたが、有権者の政策に対する関心にはどのような変化はあったのでしょうか。

2回の投票マッチング結果を見ながら、分析していきます。

無党派層が最多利用、若者に関心広がり

まず、マッチング利用者の傾向をみてみましょう。

男女比は男性44.2%、女性48.2%と前回同様に半々でした。

支持政党をみても「支持する政党はない」が最多の78.1%。今回も、いわゆる「無党派層」が利用する結果になりました。

しかし、年齢層を見ると、30代以上が減少に転じた一方で、30歳以下は増加しました。特に、17歳以下の割合は前回よりも12ポイント増加して約13%となりました。

再選挙の関心が若手世代を中心に、投票権を持っていない層にまで広がったようです。

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関心集まった政策では賛否分かれず

再選挙にあたっては、「公約の差別化が図られた」などの報道もありましたが、投票マッチングでは政策に対する候補者の態度や利用者の関心はどうだったのでしょうか。

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利用者が重視する政策をみると、1回目と2回目ともに「コロナウイルスの感染拡大防止か経済回復措置か」「育児に関する助成金」「給食費無償化」「羽田空港新飛行ルート」の上位4項目には変動がありませんでした。

ただ、「育児に関する助成金」と「給食費無償化」はすべての候補者が「賛成」または「やや賛成」と回答しました。4番目の「羽田空港飛行ルート」も4人が反対、1人がやや反対、1人が中立と、反対に寄った格好です。

候補者の関心が高かった項目では、候補者の賛否に大きな差がみられませんでした。

一方で、公開討論会では「大きな争点」との声も上がり、候補者のうち2人が賛成、2人が反対、2人がやや反対と賛否が分かれた「大井町地区のアリーナ建設」を重視すると選んだ割合は11.4%で、20問中12番目。

また、公立保育園の民営化も賛成1人、やや賛成2人、反対2人、やや反対1人と賛否が割れましたが重視する割合は8.1%で、18番目でした。

候補者の賛否が分かれた争点と、有権者の関心が必ずしも一致していなかったようです。

品川区長選再選挙は全国7例目の異例の事態となり、投票マッチングの利用者層からも関心の広がりは見られました。ただ、投票率が前回より約3ポイント下がった背景には、こうした投票を呼び掛ける側と投票する側の考え方のズレが一因になったとも考えられます。

2回の投票マッチングの概要は以下の通りです。

【品川区長選 9月27日(日)告示、10月2日(日)投票】
品川区長選挙2022 投票マッチング(1回目)
実施日:9月27日(日)~10月3日(月)(7日間) 利用者数約3500人

【品川区長選再選挙 11月27日(日)告示、12月4日(日)投票】
品川区長選再選挙2022 投票マッチング(2回目)
実施日:11月30日(水)~12月4日(日)(4日間)利用者数約1100人

1回目と2回目の変更点

設問:なし

回答:
・大西光広氏は立候補しなかったため回答を削除
・石田慎吾氏の回答を追加
・山本康行氏の回答を12問変更(本人の希望により)
※再度立候補したすべての候補者から回答修正を受け付け、本人の希望があった場合のみ修正しました。

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