定番はコレだ! 昭和を彩った【80年代のクリスマスソング】ランキング10  松任谷由実は日本のクリスマス文化にひと役買った功労者のひとり!

「昭和を彩った “80年代のクリスマスソング”」という、僕がセレクトした楽曲をランキング形式で語るこの企画… めちゃくちゃハードルが高い(笑)。

先に言い訳させてもらえるなら、これは僕の個人的な思い入れだけで決めたランキングなので、どうか最後まで温かい気持ちで見守って欲しいということ。「俺ならこうだ!」「私ならこれを選ぶ!」など盛り上がるのは大賛成だよ。

それではまず10位からご紹介しよう。

第10位:もう一度X’mas / 大江千里

比較的ロック色の強い軽快でポップなナンバー。曲調からクリスマスらしい雰囲気は感じられないけれど、若さ溢れんばかりの大江千里らしさが遺憾なく発揮されている。この「もう一度X’mas」が収録されたアルバム『未成年』は、オリコンアルバムチャート初登場5位を記録。彼の人気を不動のものにした。

さて、今年は一年遅れの東京オリンピック・パラリンピック2020開催年ということで、1992年にリリースされたシングル「ありがとう」も番外編として合わせて記しておきたい。クリスマスソングではないけれど年の瀬に聴きたくなる定番曲だ。ちなみにこの曲を僕はコラム『今年最後の「ありがとう」、大江千里の「ありがとう」』で取りあげているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。

第9位:Merry Christmas Mr.Lawrence / 坂本龍一

12月頃からお店のBGMとして流れるクリスマス定番曲。坂本龍一は、この曲で英国アカデミー賞作曲賞を受賞している。

西洋でも東洋でもない、そういう民族や地域を超越したオリエンタルなメロディが聴く人を不思議な世界に誘うのだが、それは “四七抜き音階”(簡単に説明すると、レとファを抜いたドミソラシの音階)つまりペンタトニックスケールで作られたメロディに秘密があると思われる。ただ、坂本龍一曰く「そんな簡単なものじゃない」そうだ。そりゃそうか。

映画『戦場のメリークリスマス』は、スクリーンで観られず20代の終わりに初めてビデオで鑑賞した。あまりに高尚な内容で正直よくわからなかったという雑な思い出がある(笑)。もちろん美しい曲に変わりはないが。

第8位:SWEET MEMORIES / 松田聖子

元々は「ガラスの林檎」のB面として発売された「SWEET MEMORIES」だけれど、あまりの人気にジャケットを新しいものに変え、改めて両A面シングルとして発売されたという名曲バラード。

「おいおい、これはクリスマスソングじゃないだろ!」とお叱りの声がありそうだけど、イントロが始まる前に響く鈴の音のアレンジとか、サントリーCANビールCMも然り、雪の降る夜に一年の出来事を振り返るようなイメージがこの曲にはあると思う。超個人的な思い出で申し訳ないが、僕は高校3年生のクリスマスイブに、5時間以上駅のホームで彼女が来るのを待ったことがある。昭和にありがちなすれ違いだ。その時にこの曲をずっと口ずさんで待っていたという強烈な記憶がクリスマスとセットになっているので、どうかご容赦願いたい(ちなみに5時間後、彼女は来ました)。

松田聖子の80年代クリスマスソングを普通に紹介するなら「Pearl-White Eve」(1987年11月6日リリース)が妥当だろう。この曲は、前出の大江千里作曲、そして「SWEET MEMORIES」を作詞した松本隆の作品である。

第7位:ラスト・クリスマス / ワム!

洋楽も少しだけ。この曲も店内のBGMで流れるクリスマス定番曲だ。80年代の日本でヒットした洋楽のなかで、これを超えるクリスマスソングはないと思うけれどどうだろう? ジョージ・マイケルの甘い歌声が切なさを演出しているけれど、飲食店で働く身としては「ラスト・クリスマス」=「クリスマスの忙しさ」なので、僕にとっては「売れるだけ売ってやる!」と気合が入る一曲である。

洋楽クリスマス曲の番外編として、70年代ならば1971年にリリースされた「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)(Happy Xmas(War Is Over))」ジョン・レノン&オノ・ヨーコ。90年代ならば1994年にリリースされた「恋人たちのクリスマス(All I Want for Christmas Is You)」マライア・キャリーだろうか。「ハッピー・クリスマス」に関しては仕事をしていても聴き入ってしまうが、「恋人たちのクリスマス」に関しては、ポップな曲調ゆえに調子に乗って体力の限界を超えてまで働いてしまうという、僕にとっては罪作りな曲だ。

第6位:クリスマスキャロルの頃には / 稲垣潤一

本来なら「メリークリスマスが言えない」(1990年11月1日リリース)を紹介すべきところだが、正直僕の記憶をくすぐるのはTBS系ドラマ『ホームワーク』の主題歌「クリスマスキャロルの頃には」なのだ。

「おい!それは90年代のクリスマスソングじゃないのか?」というお叱りの声はちゃんと届いています… ええ、届いていますとも。けれど、80年代を彩ったクリスマス曲の紹介とはいえ、これだけのヒット曲は外せないだろう… というのが僕の見解。今日立ち寄ったドラッグストアでもインストゥメンタルにアレンジされた同曲が流れていた。

まぁ、これを挙げちゃったら同年にリリースされた「いつかのメリークリスマス」B'z(アルバム『FRIENDS』収録 1992年12月9日リリース)も紹介せざるを得ないだろう。稲垣潤一と合わせ技一本! ということで何とかご了承願いたい。同曲は、クリスマス定番曲のなかでも屈指のバラードであり、ファンならずともカラオケでチャレンジしたくなる曲である(僕は肝心なところで声が裏返ってしまう)。

第5位:シャ・ラ・ラ / サザンオールスターズ

さきほどの松田聖子「SWEET MEMORIES」同様に、「シャ・ラ・ラ」は「ごめんねチャーリー」と共に両A面でリリースされた楽曲。この曲に関しても僕はコラム『サザンオールスターズ「シャ・ラ・ラ」桑田佳祐と原由子の声が混ざる心地よさ』を書いている。

歌詞の中に、

 雪になりそな  mery mery mery Christmas A men

―― という部分があって、そこでようやく「クリスマスなのか!」と気づかされるという、僕にとってはクリスマスソングというより「今年もいろいろあったね…」と、年の瀬に聴きたくなる癒しの曲だ(おい!?)。

第4位:MERRY X'MAS IN SUMMER / KUWATA BAND

KUWATA BANDとは、桑田佳祐の妻である原由子の産休を契機に1年限定で活動したグループだ。この曲は、僕がコピーバンドとして演奏したこともあって特に思い入れがある。とは言えレゲエ調のアレンジだし、7月にリリースされた夏の終わりの曲ゆえに “クリスマスらしさ” には少々欠ける。今回は変わり種としてランクイン。

ちなみに、TBSラジオの深夜番組『パックインミュージック』のパーソナリティー林美雄が、「夏にもクリスマスのようなイベントを作ろう」というリスナーの提案により声がけをして開催したイベントが1974年8月25日のこと。それは日本に「サマークリスマス」という記念日が誕生した瞬間でもある。もしかしたらこのラジオ番組を桑田は聴いていて、“夏のクリスマス” という記憶が心の片隅に残っていたのかもしれない。

第3位:サイレント・イヴ / 辛島美登里

TBS系ドラマ『クリスマス・イヴ』の主題歌として大ヒット。僕はこのドラマを欠かさず観ていたこともあり、毎週金曜日は涙が枯れてイカの塩辛になっていた(笑)。

ちなみに、「サイレント・イヴ」のB面は、盟友永井真理子らと前年に発売したオムニバスアルバムのタイトル曲『MERRY CHRISTMAS TO YOU』(1989年11月16日リリース)である。とにかくクリスマス尽くしだ。マライア・キャリーはクリスマスの女王と称されるが、辛島美登里はさながら “日本版クリスマスの女王” に違いない。

第2位:クリスマス・イブ / 山下達郎

もはや何の解説もいらないだろう。JR東海が仕掛けたクリスマスエクスプレスCMの影響力は絶大だった。僕はこのCMに大変思い入れがあって、コラム『待つ女性から会いに行く女性へ「クリスマス・エクスプレス」に見るすれ違いの日々』を書かずにはいられなかったんだ。

ちなみに僕はバンドでBassを担当しているのだけれど、有名曲だけに「クリスマス・イブ」を演奏する機会が多い。聴くほうはいいけれど、リズム隊としては弾いていて面白味がなく(笑)、演奏する身としては、山下達郎ライブで必ず1曲目に演奏される「Sparkle(スパークル)」のほうが好み。

番外編として、竹内まりやが1995年にリリースした「今夜はHearty Party」と2001年にリリースした「すてきなホリディ」を挙げておきたい。これはどちらも日本ケンタッキー・フライド・チキン関連のカップリング曲だ。「すてきなホリディ」は20年以上も前の曲にも関わらず今年もCMでガンガン流れている。日本中の人が必ずクリスマスを想起する名曲を夫婦二人で世に送り出したとか、もはや日本の文化功労者として表彰されてもおかしくないよね?

第1位:恋人がサンタクロース / 松任谷由実

栄えある第1位はこの曲。何故なら数多のクリスマスソングのなかにあって、珍しく “Happy” な展開の歌詞が綴られている曲だから。冬の寒さが人の心を切なくさせるのかわからないけれど、クリスマスソングは何故か恋人との別れなど哀しさをともなう歌詞の曲が多いのである。

この「恋人がサンタクロース」は、ダイナミックなリズムアレンジとメロディにぶつけるコードがとにかくお洒落。サビの切ないセブンスのコードからメジャーな展開に切り替えるところなど、どこもかしこも抜群のセンスを感じてしまう。クリスマス=ファミリー行事だった世の中を、恋人たちの一大イベントに導いた功績は偉大であり、それは1987年公開の映画『私をスキーに連れてって』の主題歌に選ばれたことでも頷ける(もちろん映画もハッピーエンドだった)。ユーミンも、日本のクリスマス文化にひと役買った功労者のひとりに数えられると僕は思うぞ。

―― ということで、今回の「昭和を彩った “80年代のクリスマスソング” 」はこんな結果。どちらかというとバンドなどミュージシャン寄りの王道セレクトだったけれど、どうだったかな?

「佐野元春はどうした!」とか「浜田省吾はないのか!」など耳が痛いし、アイドル歌謡曲あたりも聖子ちゃんしか入れてないし、誠に心苦しい限りである。まぁ、ほとんどの歌手、ミュージシャンはクリスマスソングを持っているので「そんなの全部紹介なんてできないよねー」というヤケクソな言い訳しかできませぬ…。あしからず(笑)。

それではみなさん、よいクリスマスをお過ごしくださいね。

Happy Christmas to you !

※2021.12.19日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: ミチュルル©︎たかはしみさお

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