ネーミングライツ、額や期間「提案型」導入 県有施設19カ所で募集

栃木県庁

 栃木県有施設のネーミングライツ(命名権)の導入促進に向け、県は今月から、企業に金額や期間などの条件を提示してもらう「提案型」の手法を導入した。19施設で提案を募る。県は自主財源確保策として2006年度以降、16施設の命名権を売り出したが、契約実績は4件と苦戦が続く。県は「ニーズを把握して導入拡大を図りたい」としている。

 今回、提案募集の対象となる施設は子ども総合科学館、グリーンスタジアム、ライフル射撃場(宇都宮市)、なかがわ水遊園(大田原市)、みかも山公園わんぱく広場(栃木市)、とちぎわんぱく公園こどもの城(壬生町)、とちぎ海浜自然の家(茨城県)など。今後さらに追加する予定で、県が主催するイベントも対象とする。

 命名権の購入を希望する企業は指定のシートに価格や契約期間、県への要望事項などを記入して県に提出する。提案を受け、県は企業と事前協議を行い、県の希望価格や契約期間を設定して公募にかける。

 06年度以降、県は計16施設(延べ35件)の命名権を公募したが、契約が成立したのは4件のみ。県総合スポーツゾーンの整備に伴い建設された「カンセキスタジアムとちぎ」(年額1800万円)や「日環アリーナ栃木」(同1300万円)、「ユウケイ武道館」(同300万円)の3施設に愛称が付く一方、建設から年数のたった既存施設は企業からの応募が低調だった。

 08年度の「子ども総合科学館」は、わくわくグランディ科学ランドの名称になったが、12年度に契約は終了。14年度以降、既存施設の命名権の募集はしていなかった。

 命名権の販売不振について、県行政改革ICT推進課は「対象施設や金額などに企業ニーズとの齟齬(そご)があった」と分析し、「少子高齢化や新型コロナ対策など社会ニーズが多様化する中、自主財源の確保は喫緊の課題。企業の意見を聞くことで命名権の拡大を図りたい」としている。

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