とちあいか生産拡大へ支援チーム 生産者を重点指導、栽培面積2.4倍に

栃木県が開発したイチゴの新品種「とちあいか」

 栃木県が新たな主力品種と位置づける県産イチゴ「とちあいか」の生産拡大に向け、県と農業団体は9日までに、生産者を重点的に指導する「『とちあいか』未来創りサポートチーム」を設置した。新規就農者を含む全生産者を巡回して生育状況を確認し、栽培に関する指導や課題分析などを行う。2023年産(速報値)の栽培面積は前年比2.4倍の125ヘクタールに増えており、農家の支援を進めて生産基盤の拡大・強化を図る。

 同日、県議会農林環境常任委員会で県が報告した。

 県は27年産(26年秋~27年春)までに、とちあいかの栽培面積を県全体の1割(22年産)から8割まで拡大する方針。県によると、23年産の生産者数は前年比72%増の683戸で、うち新規は約2倍の286戸に増えている。

 とちあいかは、これまでの主力品種「とちおとめ」と比べ、温度管理や肥料量などが異なることから、栽培技術の向上が課題となっている。一部で障害果も確認されているという。

 サポートチームの設置は11月末。各農協や農業振興事務所でつくる「地域チーム」と、県の担当課やいちご研究所などによる「県域チーム」がある。

 地域チームは生産者の巡回・指導を担当し、今月中旬までイチゴの生理障害の発生状況を確認。ハウス内の温度や肥料量などを調査し、改善を指導する。気温が低い2月にかけては病害虫の発生状況、気温が上がる3月は過熟がないかなども確認する。

 県域チームは、巡回結果を基に地域ごとの課題を分析。優良事例を集め、地域チームの指導につなげる。

 県生産振興課は「とちあいかに切り替わる中で、とちあいかを初めて作る人も増えている。重点指導により高い品質や収量を確保していきたい」としている。

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