首相最大の危機も「山で始まり河で幕」 神奈川関係議員が注目集めた臨時国会閉幕

国会議事堂(資料写真)

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題に揺れた臨時国会が10日閉会した。岸田文雄首相は山際大志郎前経済再生担当相(衆院神奈川18区)ら3閣僚を更迭するなど就任以来、最大の危機に直面。河野太郎消費者担当相(15区)を前面にして乗り切り、被害者救済法の成立にこぎ着けた。異例の土曜開会の中、現場では「山(際)で始まり河(野)で幕」(自民の閣僚経験者)との評が聞かれた。

 山際氏を巡る攻防に端を発し、県関係の与野党国会議員が活躍した国会でもあった。「2人の大臣の首をとった」(官邸関係者)とされるのが立憲民主党の後藤祐一氏(16区)だ。10月18日の衆院予算委では「旧統一教会との関係で『後出し』はない?」と山際氏を追及。「これから新しい事実などさまざまなことが出てくる可能性がある」との答弁を引き出した。山際氏はその6日後、辞任した。

 11月8日の衆院倫理選挙特別委では“脱税疑惑”を指摘された当時の寺田稔総務相をただした。寺田氏は「これ以上、問題が出てくることはないのか」との問いに「私は全ての団体の政治資金収支報告をチェックしているわけではないので分からない」と答弁。同月20日に辞表を提出した。

 立民の早稲田夕季氏(4区)は、10月26日の衆院厚生労働委で大串正樹デジタル副大臣から旧統一教会関連団体の「推薦確認書」に署名していたとの答弁を引き出した。同副大臣の所管外委員会だったが「ここにおられる大臣、副大臣、政務官に問う」と厚労省三役に加えて答弁を要求。「取り交わしたことを確認しております」(大串氏)との衝撃的な答弁を呼んだ。

 野党は「大ホームラン」(共産党関係者)と絶賛。官邸には初耳だったといい、首相周辺は「総理直轄の部下が野党追及でカミングアウトとは」と絶句した。

 土壇場での救済法の成立にあたっては、県関係の自民議員が活躍した。河野担当相は首相への野党の追及に答弁で割って入りブロック。一方で「壺(つぼ)の購入も寄付に該当する」と明言するなど、野党から理解を得ることにも努めた。

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