外国クルーズ客船の誘致に熱 横浜市

 横浜港を“母港”とする外国のクルーズ客船による日本発着便を増やそうと、横浜市港湾局が誘致に力を入れている。中高年層を中心にクルーズ人気が高まる中、比較的安価で楽しめると注目される外国客船。首都圏に位置する横浜港は、乗客だけでなく外国客船も利用しやすいことから「世界中で最も素晴らしい港の一つ」と運航会社は関心を寄せる。

 国内最大級の規模を誇る横浜港大さん橋国際客船ターミナル(同市中区)に25日朝、プリンセス・クルーズの大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5875トン)が入港した。2013年に初入港して以降、横浜発着クルーズを毎年行っており、今シーズンは15回程度を予定している。

 乗客定員は約2700人。午前中にシンガポールからの外国人客を降ろし、午後5時、日本人客を乗せて長崎と韓国を巡る6日間の旅に出港した。

 クルーズ客船の発着地では最大で5千人もの乗客が入れ替わる。観光や宿泊、ショッピング、さらには食材や燃料の調達といった経済波及効果が期待される。

 市港湾局は本年度、組織を改編してクルーズ客船の運航会社へのセールスを強化。20年の東京五輪開催を控えて大黒ふ頭(同市鶴見区)の横浜ベイブリッジ外側に大型客船の新施設整備を急ぐなど、外国客船のさらなる誘致が熱を帯びる。

 伊東慎介局長は25日、大さん橋での式典で「18年度中に、交通渋滞を解消するために大さん橋周辺の道路の拡幅に取り組んでいきたい」と述べ、市街地に近い大さん橋の利便性向上を約束した。

 プリンセス・クルーズは同日、5年目となる17年の横浜発着クルーズに、北海道・知床を巡るコースや東南アジアへのコースを加えてさらに充実させると発表した。幹部は「大さん橋がある横浜は素晴らしい港。客船の魅力を知る横浜市民や首都圏の人たちに乗ってほしい」とアピールした。

 外国客船のクルーズ充実に向けて国も後押しする。国土交通省の菊地身智雄港湾局長は同日、大さん橋で「国は、20年にクルーズ船で訪日する外国人客500万人を呼ぶ新たな目標を掲げた。外国クルーズ客船が日本に寄港する際には港の受け入れ態勢を整えたい」と語った。

© 株式会社神奈川新聞社