3~4頭に1頭は太りすぎ…犬の肥満対策、ダイエット法まとめ 不妊手術や去勢手術後は体重増えがち【ペットドクター相談室】

イヌの肥満対策、ダイエット方法
写真を拡大 (提供:日本ヒルズ・コルゲート株式会社より引用)

3月上旬に犬の去勢手術をしました。手術後は食欲が増し肥満になりやすいと説明を受けました。去勢後用のドッグフードのほかに何か、肥満にならないための方法とかありますでしょうか?例えば、お散歩の時間を長めにして運動量を増やす、かさ増しのトッピング(もやしやキャベツのゆでたもの)を食べさせるなど…。お願いいたします(チワックス、はるひろこさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 さくら通り動物病院(福井県福井市)平賀達朗獣医師

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ご質問ありがとうございます。犬の不妊や去勢手術後に体重管理を意識した対策が必要になるケースは多いです。肥満は意識してすぐに解決する問題ではないため、長期間にわたる栄養管理、運動管理などが必要になります。

最近問題視されている犬の肥満、世界的に割合増

肥満傾向にあるということは、脂肪が過剰に蓄積した状態を示しており、さまざまな病気との関連が報告されています。ヒトと同じく犬でも近年問題視されており、犬の肥満の割合は世界的にも高まっています。現在、犬全体の約30%~40%、つまりは3~4頭に1頭は太りすぎ、もしくは肥満の体型と報告されています。

不妊手術後は太りやすい?

不妊手術を行うと、性ホルモンの分泌停止による運動量の低下、食欲の増加、脂肪の増加などが起こるため肥満になりやすくなると考えられています。ただし、手術後であっても食事量をしっかり管理し、適正な運動量を保つことで体重の増加を抑えることは可能です。

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肥満にならないために…

目標体重の設定

まずは犬の標準体重を把握することが重要です。犬の体格によって適正な体重に差があるため、肥満管理の目標を明確にしておくことが必須です。

ご自宅でもできる肥満の判定方法の一つとして、ボディコンディションスコア(BCS)の測定があげられます。犬の見た目や触り心地で体型を1~5のスコアで判定することができます。判断が難しい場合は動物病院にて適正体重を相談するとよいでしょう。

食べ過ぎ食事管理

 肥満になる原因の一つとして摂取カロリーが多すぎる、つまりは食べ過ぎがあげられます。1日に必要なカロリーは犬の運動量や性格などによっても変化します。ご自宅の犬の適正なカロリー摂取量を事前に把握しておくことで食べすぎを防ぐことができます。

 カロリー摂取量を管理するために、低カロリーのダイエットフードに変更し、おやつを控えることが必要になる場合もあります。どうしてもダイエットフードだけで満足できない場合は減量用の低カロリーなおやつをあげることもできますが、食べているもの全体の摂取カロリーに注意して食事管理をする必要があります。

 また、体重管理を目的としたサプリメントを同時に与えることもあります。ただし、ダイエットを行う際は基本的には食事量の管理と運動量の管理が重要なので、あくまで補助的な方法であることを意識する必要があります。

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適度な運動

 肥満管理を行う際、適度に運動量を増やすことで消費カロリーを増やすことができます。ただし、急激な運動量の増加は負担をかけるため、少しずつ運動量を増やしていく必要があります。例えば、散歩の時間を徐々に増やす、おもちゃを投げて取ってこさせるなどの遊びをする、食事の前におすわりや伏せを何回も繰り返して活動量を増やすようにするなどの工夫が必要になります。

 一般的に肥満度が高い犬ほど散歩を嫌います。ダイエットにより体重が減少すると活動量が増え、散歩の距離も増えていく傾向があるので、あきらめずに少しの運動でも継続していくことが重要です。

 近年、肥満が原因で起こる疾患は増加傾向にあります。糖尿病や骨関節症、呼吸器障害や心臓病、皮膚症状など、影響は多岐にわたります。ご自宅での予防的な体重管理が犬のストレスを軽減し、健康寿命の伸長にもつながるため、特に不妊手術を行う際にはご自宅での飼育環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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