東証グロース上場するjig.jp、ライブ配信事業「ふわっち」さらに成長へ 福井県鯖江市に拠点…福野泰介会長インタビュー

東証グロース市場上場が決まり、今後の成長に向けた抱負を語る「jig.jp」の福野会長=福井県鯖江市横越町の同社本店・開発センター

 福井県鯖江市に本店・開発センターを置くソフトウエア企画開発の「jig.jp」(本社東京都、占部哲之社長)が12月22日に東京証券取引所グロース市場への上場が決まり、創業者で福井高専出身の福野泰介取締役会長(44)がインタビューに応じた。福野氏は、主力のライブ配信事業について「しっかりと利益が出るビジネスに成長した」と強調。「世界中の人々に便利なツールを提供するという目標はまだ道半ば」とし、上場後もさらに成長させていく考えだ。

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 ―創業から約20年。鯖江を開発拠点に、さまざまなソフトウエアを開発、提供してきた。

 「福井高専生の頃からプログラミングが好きで、『便利なツールをつくって、人類の進化に貢献したい』と思って起業した。20年前は『ガラケー』の携帯電話が主なハードウエアだったので、パソコンサイトを携帯電話で閲覧できる『jigブラウザ』を開発し、新機能を追加してユーザー数を伸ばした。鯖江市と連携し、全国に先駆けて行政情報のオープンデータ活用にも取り組んできた」

 「jig.jpの企業理念は『利用者に最も近いソフトウエアを提供し、より豊かな社会を実現する』。いまはスマートフォン向けが中心だが、ソフトウエアはハードウエアの進化に応じてやれることが広がってくる。今後もいろいろなデバイスが出てくる可能性はあるので、それに合わせてソフトウエアをつくり続けたい」

 ―主力事業のライブ配信「ふわっち」とは、どんな事業か。

 「スマートフォンやパソコンを用いて誰でも簡単に動画のライブ配信、視聴ができるサービスで、2015年に始めた。サービス内のアイテムの贈り合いなどを通じてインタラクティブ(双方向的)なコミュニケーションを楽しむプラットフォームだ。視聴者への有料アイテム販売が事業の主な収益となっており、今年3月の月間の課金ユーザー数は約3万3千人で、配信者数は約2万4千人」

 「ふわっちの配信者のほとんどは一般人。誰もが自由に発信できるメディアは非常に強力で、ブログやSNS(交流サイト)とすそ野が広がり、いまやマスメディアにも匹敵する時代だ。ライブ配信もボタン一つで手軽に配信でき、認知度が高まっていけば、社会を形づくるためのインフラにもなれる。今後も配信者と視聴者の価値を最大化することにポイントを置きながら、ユーザー数を増やしていきたい」

 ―長年開発拠点にしてきた鯖江市のめがね会館内から、7月に同市横越町に事務所を移転新築し、地域のIT人材の発掘・育成に力を注いでいる。

 「jig.jpは開発力がコア(核)で、その源泉は福井高専の後輩や同僚らとつくった鯖江の開発センターだ。ここでエンジニア天国をつくろうと、全国の高専生のインターンシップを受け入れているほか、子ども向けプログラミング専用パソコン『IchigoJam(イチゴジャム)』を開発し、小学生らのプログラミング教育に取り組んでいる。鯖江は伝統に固執せず、どんどんチャレンジしていく街だ。IT人材を輩出し、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)しながら新しいものを一緒につくっていきたい」

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