「核抑止に依存する安全保障は危険」 ICANの川崎哲氏が講演 長崎

6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議について報告する川崎氏=長崎市平野町、市平和会館

 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲氏が10日、長崎市内で講演した。6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議に参加した経験などを踏まえ、来年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)では「核抑止に依存する安全保障は脆弱(ぜいじゃく)であり危険だという認識を、首脳たちが共有しなければ」と語った。
 川崎氏はオーストリアであった締約国会議と関連イベントについて報告。条約を巡り、核保有国の不参加などを理由に実効性を疑う意見があることについて、「核を持たない国が主導するという道筋を描いている。規範を作り、核に依存する国が徐々に参加し、最終的に保有国が加わる」と見解を述べた。
 8月に米国であった核拡散防止条約(NPT)再検討会議にも言及した。ロシアがウクライナ侵攻で核使用をちらつかせ威嚇していると非難される一方、西側の保有国が核抑止を掲げていることを疑問視。「悪い威嚇と良い抑止に分けることはできるのか」と問題提起し、広島サミットで核の非人道性とリスクが共有されることに期待を寄せた。
 講演会は長崎平和推進協会が主催。同じく締約国会議に参加した「KNOW NUKES TOKYO」の中村涼香共同代表も登壇した。


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