世相を反映、食文化を象徴する『今年の一皿』は… 進化続ける「冷凍グルメ」に決定

今年の世相を反映した『新語・流行語大賞』に続いて、今年の食文化を象徴する『今年の一皿』が発表されました。2022年を象徴するものとして選ばれたのは「冷凍グルメ」です。

『今年の一皿』は「後世に受け継ぐ価値がある」食文化の記録として2014年から発表されています。2021年は酒類提供制限下で酒店の救世主ともなった「アルコールテイスト飲料」が、2020年はコロナ禍で利用者が急増した「テイクアウトグルメ」など、その年の社会の動きを色濃く映し出したものとなっています。

そうした中、今年選ばれたのが、急速冷凍技術の進歩によって味や栄養もキープできるようになったことから近年市場の拡大が続いている「冷凍グルメ」が『今年の一皿』となりました。発表した「ぐるなび総研」の市川萌乃さんは「コロナ禍で飲食店への急速冷凍機の導入が加速したことで、レストランの味を自宅で楽しめる・再現できるようになり、冷凍グルメが誕生した。保存性やフードロス削減の観点からも社会変化に対する柔軟性が高いと考えていて、今後の日本の食文化で一層不可欠なものになると考えている」と話します。

百貨店の冷凍食品専門売り場や自動販売機なども話題となった2022年、冷凍グルメはコロナ禍で厳しい状況が続いた飲食店でも通常の営業以外での売り上げ獲得や、人件費・食品ロスの削減などにつながっているようです。店側にとってもメリットの多い「冷凍グルメ」について、実際に取り扱う飲食店を取材しました。

大田区蒲田の地で27年にわたってイタリアンレストランを経営しているTrattoria M's(トラットリア・エムズ)では、コロナ禍で客足が減ったためテイクアウトを導入しました。ただ、店の味はそのまま提供したいと考え、急速冷凍の機械を使うことにしたといいます。店の森文恵マネジャーは「日持ちがするということと、購入したお客さまが好きな時に食べられるところ。店で提供しているものを冷凍でも出せるよう、どんどん増やしていきたいと思っている」と話します。オーブンで焼いた店自慢のラザニアは、マイナス30℃で急速冷凍し、店舗の入り口に設置したフリーザーでは冷凍グラタンなどとともに販売しています。6分ほど温めれば、お店で出てくるようなおいしさが味わえます。

『今年の一皿』に決まった「冷凍グルメ」は、日本の食文化の新たな可能性を広げてくれそうです。

<コロナ禍を反映 進化する「冷凍グルメ」>

コロナ禍で冷凍食品を手にする機会が多くなりました。『今年の一皿』もコロナ禍ならではという結果となりました。最近は「冷凍専門店」も増えています。また、最近は日持ちがなかなかしにくい野菜も冷凍で比較的低価格で販売されています。家庭で日々料理を作る側にとって、おいしい冷凍食品で1品賄えるのはすごく助かるものです。今後の冷凍グルメの進化にも期待です。

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