「スピーキングテスト」の試験監督が会見 当日の問題点を指摘

11月に東京都内の公立中学3年生を対象に実施された「中学校英語スピーキングテスト」について、試験当日に試験監督を務めた男性が会見を開き、会場であった問題点を指摘しました。

都内で塾の講師を務める50代の男性は、11月27日に行われた中学校英語スピーキングテストで試験監督を担当しました。12月9日に会見を開いた男性は、試験の際に隣の教室の声が聞こえたり受験者の名簿が誰もいなくなった教室に置き去りにされていた点などを指摘しました。男性は「『声が聞こえた』という報告はないということだが、そういう報告を集める仕組みがないからないだけ。自分の目と耳で確認したから間違いなく声は聞こえている。"きちんと聞こえるレベル”で聞こえている」と証言しました。また、会見では受験生を対象として行った調査の結果も公表し、前半に試験を受けた生徒の声が聞こえたことに対し、別の試験監督が後半組の生徒に「いい点取れそうですね」と声をかけたことも明らかにしました。

<"公平性”に疑問符 中学校での学習範囲を逸脱…>

スピーキングテストを巡っては、テスト実施後にさまざまな問題が指摘されています。

テストの直後から運営に対する疑問の声がSNSで上がっていましたが、そのうちの一つが「公平性」についてです。テストは2部制の入れ替え方式で行われましたが、試験会場と待機する場所が隣同士ということに加え、教室の扉は開いていて、前半組の回答の声が後半にテストを受ける受験生に聞こえていたというものです。この点について当日の試験監督を務めた男性はこの日の会見で「前半組の声が"きちんと”聞こえた」と証言しました。こうした指摘については現在行われている都議会の定例会で議員から都教育長に質問していますが、浜教育長は「事例の報告を受けていない」「適切に実施されたものと認識している」という答弁を繰り返しました。ただ、会見した試験監督を務めた男性は、聞き取り調査などは受けていないとしています。

スピーキングテストの問題点は他にも指摘されています。実際に出題された英語を音読する問題で今回指摘されている問題点が「may have seen」の部分です。これは「見たかもしれない」という意味で使われますが、この文法は高校で習うレベルのもので、中学校での学習範囲を逸脱しています。指摘について浜教育長は「それぞれの『may』『have』『seen』の単語は中学で学ぶものを用いた。学習指導要領を逸脱しているとの指摘には当たらない」としています。「単語が読めるから文法は知らなくてもいい」というのはスピーキングテストの本来の趣旨から外れているのではないかという疑問も生じます。

今回の問題は英語教育を巡る問題ではなく受験の公平性に関わる部分です。指摘に対しては、東京都・教育委員会は受験生のためにも真摯(しんし)に向き合ってほしいと感じます。

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