紫芋のスイートポテトデニッシュ①【デニッシュ生地仕込み編】

デニッシュ生地の作り方を詳しく書いてみました。 工程が長くなってしまい、投稿できる工程数の上限を超えてしまったのでレシピを2つに分けています。 ⇒紫芋のスイートポテトデニッシュ②【発酵・焼成・仕上げ編】は レシピID 00023287 https://recipe.cotta.jp/recipe.php?recipeid=00023287 ↑こちらにあります! 難しいイメージのあるデニッシュ生地。 生地を休ませる時間をたくさん取るので時間はかかりますが、丁寧に作れば美味しくサクサクにできます! 私もパン作り経験が少なかった時から作ってきていくつも失敗してきたので、その失敗談を交えて生地の作り方を詳しく解説します。 工程内に書いてある「★」が失敗経験です。参考になればと思います。 前日の夕方~夜に折り込み用バターとパン生地を仕込んで(ほとんどこねないのですぐ終わります)冷蔵庫に寝かせ、翌日折り込みを開始して、焼き上がりまでは半日以上見てください。 とにかくゆっくり、焦らずに生地を休ませるのがコツです。 慣れない方は暑い時期や極端に寒い時期に作るのはかなり難しいと思うので、春や秋ごろに作るのがお勧めです。

by 陽子さん

このレシピの材料


数量:8個分

パン生地

フランスパン用準強力粉 リスドォル… 180g

きび砂糖(グラニュー糖可)… 21g

塩… 2.9g

混ぜ込み用無塩バター(できれば発酵バター)… 15g

サフ インスタントドライイースト 125g(赤)… 2.7g

水… 38g

牛乳… 47g

全卵… 18g(残りは塗り卵に使用)

折り込み用バター(できれば発酵バター)… 100g

打ち粉用の強力粉… 適量(折り込み工程に記載)

下準備


工程内に記載

【焼く前日】パン生地(折り込み前)・折り込み用バターの用意


1.【下準備】 ①水でドライイーストを溶いておきます。 ②別の容器に卵+牛乳を混ぜておきます。 ③混ぜ込み用バターを1㎝角に切って冷蔵庫で冷やしておきます。

2.【パン生地】 ボウルにリスドォル、きび砂糖、塩を入れてざっとドレッジで混ぜます。

3.混ぜ込み用バターを加え、ドレッジでザクザクとバターを切るように混ぜます。大きな塊を細かく切るように。

4.大体切り混ぜたら、次は手でバターの塊をすり潰すように、バターの塊を探しつつ指と指を擦りながら混ぜていきます。ここでねちょねちょするまでやりません。 大きな塊が大体なくなったらOK!サラサラとした状態でストップです。

5.準備しておいた牛乳+卵、水+ドライイーストを一度全部一緒に混ぜてから粉のボウルに加え、ドレッジでザクザクと切るように、粉と水を混ぜていきます。

6.こんな感じにまとまります。

7.1分ほどで良いのでボウルの中で捏ねて全体を均一に混ぜます。 ボコボコの状態でOKです! ★ここで滑らかになるまで捏ねすぎて失敗しました。 【ポイント】ほとんど捏ねないこと。

8.ビニール袋に入れて空気を抜き、口をしっかりと閉じて冷蔵庫で一晩(10~12時間程度)休ませます。この間に発酵して少し膨らんみます。

9.【折り込み用バター】 まず、折り込み用バター100g(冷たい状態)を大体同じ厚さに切ってフリーザーバッグに入れます。 私はいつもこのようにフリーザーバッグを利用して折り込み用バターを準備します。 (cottaさんのフリーザーバッグS がとても便利!)ラップでもよいですが、フリーザーバッグの方がフニャフニャせずはるかに作業しやすいのでお勧めします。 最終的にバターを伸ばす大きさは14×16cmになります。

10.めん棒でバンバンと叩いて潰していきます。 バターにも生地を伸ばすのにも、cottaさんのめん棒(商品コード092540)が重くてとってもおすすめなので、ぜひこれを使って欲しいです。

11.大体11で広がったら、あとはコロコロして空気を抜きながら均一な厚さにします。チャックは閉じておき、空気を抜く時だけ空けてあげるといいです。 角のところは、角に向かって斜めにめん棒を転がすと入ります。 この状態でバットなど平らなものに乗せ、冷蔵庫で一晩冷やしておきます。

12.用意する道具 ①めん棒 ②刷毛(余計な粉を払うのに使います) ③打ち粉…粉振りに入れておくと便利 ④竹串…空気が入った場合、抜くために穴をあけることがあります。

13.まず折り込み用バターの袋の3辺を切り落とし、写真の状態にできるようにして再び冷蔵庫に入れておきます。(袋が本のように開ける状態)

14.冷蔵庫から仕込んでおいた生地を出します。 気泡が入って一回り大きくなった状態になっています。

15.台に打ち粉をたっぷり振り、生地を出して上にもたっぷり振り、麺棒で縦横斜めの方向にトントンと全面に当ててガスを抜きます。 次の工程も見てください。

16.4の写真は撮影の都合で片手になっていますが、麺棒でトントンするときはこういう持ち方をして均一に重さをかけるようにします。 力加減は軽~く押すくらい。

17.およそ横20cm×縦22cmの大きさにパン生地を伸ばします。 バターがこのようにピッタリと乗る大きさにして欲しいので、合わせてみてください。

18.大きさが決まったらバターを冷蔵庫に戻し、角の部分をさらに伸ばします。 青い線の向きでめん棒を当て、赤い矢印の方向に転がします。これを四隅全部にしてください。 バターはこの時外して冷蔵庫にいます。写真では大きさの目安として乗せた状態にしています。

19.こういう感じになります。

20.バターについている袋の片面だけをはがし、はがした面を生地につけて乗せます。乗せたら上に付いている方の袋をはがします。 【ポイント】できるだけバターを手で触らない。溶かすと失敗します。 生地をまず①と②を折り畳み、刷毛で余分な粉を払ってから重なった部分を指でギュッと閉じます。次に③と④をできるだけ空気が入らないよう畳んで同じように粉をはらい、すべての重なる部分を指でギュッと閉じます。 このとき、バターを一緒にギュッとしないこと。生地だけです。 【ポイント】隙間がないように、すべての穴をしっかり閉じること。 バターがフニャフニャにならないうちに手早く閉じること。

21.めん棒を使ってトントンと軽く押さえるように縦横斜めすべての方向全体に当て、バターと生地をしっかりと中でくっつけます。 ここで押しすぎてバターを折ってしまうと失敗に繋がるので、バターが折れない程度の力加減でやってください。(バターが折れたらどうなるかを工程18に記載しているので見てみてください) ここで一度ビニール袋に入れ、冷蔵庫に30~40分程度入れて休ませます。 金属製のバットに乗せると冷気が伝わりやすいので生地がよく冷えます。 ★ここで冷やさずに伸ばしに入って失敗しました。

22.30~40分後、打ち粉を台にたっぷりめに振り、休ませた生地を置いて上からも打ち粉を振りかけます。ここからはとにかく打ち粉はたっぷり、余計な粉は刷毛で払うということを意識してください。 台の上で生地を伸ばした時にスーーーっと生地が滑っていくくらい打ち粉を振るイメージです。足りないと、生地が台にくっついて、そこから穴があいてバターが飛び出て失敗します。

23.生地を伸ばしていきますが、この時点でバターが割れずに生地と一緒に伸びる硬さになってなければいけません。生地の端を静かに持ち上げてみて、ふにゃっと曲がるくらいになるかチェックしてください。このチェックでバターを折らないでくださいね!! 次の工程も見てください。

24.これは伸ばす時のバターの硬さの目安として撮った写真なので、実際こんなシーンはありません(笑)。中に包んだバターがこんな感じで、ふにゃっと曲がるけど溶けすぎていてもだめ、冷えてバキバキでもだめ。 曲がるようになるギリギリくらいの冷たさで伸ばしに入ればベストです!慣れない方はこのイメージが難しいと思いますが、12の中はこんな感じになっていますよというイメージを掴んでいただければと思います。 ★バターが冷えすぎた状態で伸ばしに入って折ってしまい、失敗しました。

25.伸ばすときの約束事があります。 ①打ち粉はたっぷり。 ②折り込んだバターは溶かしてはいけない。 ③伸びなくなったら再び袋に入れて冷蔵庫に戻し、20~30分待つこと。 ④生地がぶにょぶにょ、フニャフニャな感じになってきたと思ったらすぐに冷蔵庫に戻すこと。 これは必ず守ってください。 ★少ない打ち粉でやって台に生地がくっついてしまい、バターが飛び出して失敗しました。 ★ぶにょぶにょの生地を無理に伸ばしてバターを溶かしてしまい、失敗しました。 ★伸びない生地を無理に伸ばし続けているうちに生地の温度が上がり、バターを溶かして失敗しました。

26.まず赤の方向に伸ばして20cmとります。 次に青の方向に伸ばして40cm取ります。きちんと生地を休ませることで生地が縮もうとする力が緩むので、力をそんなに入れなくても伸びてくれるはずです。 ここでギュッギュッと力任せに伸ばすとバターが折れて失敗します。 イメージとしては道路工事によくいるロードローラーの感じ。同じ力をかけて端から端までずーっと同じ力加減で行き、逆方向に戻ってくることを繰り返します。これで伸びなかったら生地を袋に入れて冷蔵庫で休ませ、また続きを行います。

27.途中で空気が入っているのを見つけたら、竹串や爪楊枝で穴をあけて空気を抜きながらやります。 万が一生地が破れてバターが出てしまった場合は、打ち粉をその部分に多めに振ってから刷毛で軽く払い、ふさぐようにします。

28.20×40cmに伸びました。 薄く伸びたバターが見えています。バターは中で折れずに薄く伸びて全体に広がっている状態です。

29.ここでバターが折れているとこういうイメージになり、均一にバターが折り込めなくなってしまいます。 十分にバターと生地の状態をみながらゆっくり進めてみてください。

30.こういう感じでバターと生地が一緒に伸びればOKです!

31.伸ばしたらまず全体の余計な粉を刷毛で払います。 次に生地の3分の1を折り、また余計な粉をしっかりと払います。

32.反対側も折り、粉を払います。

33.輪になっていない角の部分が丸くなりやすいので、折った時にピシッと端が合うよう、そっと引っ張って合わせてあげてください。

34.折ったまま袋に入れ、バットに乗せて再び冷蔵庫で30~40分冷やします。

35.冷やしたら2回目の伸ばしに入ります。 表裏に打ち粉をたっぷりし、まず麺棒を両手で持ってこれまでと同じように、縦横斜めにトントンと全体的にめん棒で押さえます。このとき生地を伸ばす方向に気を付けてください。 まず、さっき長く伸ばした方向(写真 赤の矢印)は20cmの方に、短かった方(水色の矢印)は40㎝の方に行くようにします。まず赤い方向に20cm取ってから、次水色の方向に40cmという順で伸ばします。 赤い方は伸びにくくなっていますが、水色の方向にはよく伸びます。この方向を間違えると伸ばしにくいです。 【ポイント】 ・生地の方向 ・バターを割らない、溶かさない。 ・伸びなくなったらすぐに生地を休ませること。

36.途中で生地が柔らかくぶにょぶにょする感じがあったり、伸びにくくなってどうしても縮んでくるようならすぐに生地を冷蔵庫で休ませてください。無理に伸ばしても伸びません。 ある程度長くなっていたら天板を裏返して利用し、生地を乗せて乾かないようにラップをし、そのまま冷蔵庫に入れて20~30分くらい休ませてから続きを伸ばすと良いです。シルパットを持っていたら、敷いてあげるとラップがピタリと張り付くので便利です。

37.生地の移動ですが、だんだんバターの層が薄くなっていくので手で生地を持つだけで、手の温かさによってあっという間にバターを溶かしてしまいます。 2回目、3回目の折り込み後は特に出来るだけ生地を手で持たない方が良いです。写真のようにめん棒に生地をひっかけて折ったり移動したりしましょう。

38.2回目の伸ばし完了。 19~23と同じ手順で三つ折りまでして冷蔵庫に入れ、再び30~40分冷やします。

39.生地が十分に休んだら3回目の伸ばし、三つ折りをします。 同じように打ち粉たっぷり、めん棒で全体をトントンし、生地の方向は写真の向きだと左右に20cm、上下に40cmです。 3回目になるとかなり伸びにくくなってきます。休ませる時間は長めにみても良いと思います。 終わったら三つ折りにして冷蔵庫で40分程度です。

40.3回目の伸ばしが終わって三つ折りした生地を、また同じ要領で今度は20×38cmに伸ばします。 伸ばしたら、伸ばした形のまま天板等に乗せてラップをし、乾かないように気を付けて今度は【冷凍庫】に20~30分入れます。

41.入らない場合は半分に切ってからでも構いません。

42.カットの前に冷凍庫に入れるのは、断面を潰さないようにするため。 スパッと切れないと、イラストのように断面が押しつぶされる形になるので発酵~焼いた時に層になるのを邪魔してしまいます。生地を冷凍庫でしっかりと冷やすことによってそれを防ぎ、イラストの下の状態の断面にして綺麗な層が出るようにします。

43.しっかりと冷やさずに生地を切って焼いた場合。 断面が潰れて膨らんでおらず、層も見えないのが分かりますか?

44.しっかりと生地を冷やして半冷凍くらいでカットし焼いた場合。 1枚1枚の層がきちんと出てサクッと仕上がります。(←発酵失敗しなければ…!) これくらい違うので丁寧に生地を冷やしてくださいね。

45.続き(形成・発酵・焼成~仕上げ)はこちらのレシピをご覧ください! https://recipe.cotta.jp/recipe.php?recipeid=00023287 この生地でフルーツデニッシュを作ったり、クロワッサンの形に形成して仕上げていただいても美味しいです!発酵や焼き時間は基本的に同じなので、↑のレシピに沿って作ってみてください。

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