“自席なく自由 県産木材使用” イシマルに奨励賞 第35回ニューオフィス賞 交流と多様な働き方を促進

九州・沖縄ニューオフィス奨励賞を受けたイシマルの本社オフィス=長崎市田中町(同社提供)

 創意工夫を凝らしたオフィスを表彰する「第35回ニューオフィス賞」の九州・沖縄ニューオフィス奨励賞に、長崎市のオフィス機器販売業「イシマル」(石丸利行社長)の田中町の本社オフィスが選ばれた。同奨励賞5件のうち、本県企業としては唯一の受賞。社員同士の交流や多様な働き方を促す設計が評価された。
 同賞は一般社団法人ニューオフィス推進協会と日本経済新聞社が、新しいオフィス作りの普及促進を目的に毎年開催。地域ブロックごとの奨励賞は、中小企業を中心に「今後のオフィス環境整備の模範と認められるオフィス」に贈られる。
 同社の本社オフィスは昨年8月に全面リニューアル。新型コロナ禍以降、リモートワークが急速に広がる中、必要とされるオフィスの機能や意義を見直し、外部にも提案ができる「働き方研究所」として生まれ変わった。
 部署ごとの仕切りは取り払い、社員が業務の目的に応じて働く場所を選ぶ「アクティビティー・ベースド・ワーキング」の働き方を採用。本社で働く約100人の大半は自席を持たず、グループ席や個室など複数の座席から、当日の用途に合わせて選んで仕事ができる。異なる部署や年代のコミュニケーションが生まれたり、社員が心理的にリフレッシュができたりとプラス効果が出ているという。
 同賞では、こうした空間設計に加え、内装や家具に県産木材を用いた点や旧オフィスで使用していた家具を廃棄せずにカンボジアに寄付した点なども評価の対象となった。
 昨年11月からは外部の見学も受け付け、1年間で約130社が訪れた。来年、佐世保支社のリニューアルも計画中。後田友久・販売推進部長は「コロナ禍以降でオフィスのあり方が変化する中、社員が出勤したいと思える動機づけや仕掛けが重要になっている。それぞれの企業にとって働きやすいオフィスの形を考えるきっかけにしてほしい」と話している。


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