針尾無線塔のジオラマ完成 佐世保工高生、約3年かけ制作

針尾無線塔のジオラマを制作した県立佐世保工業高の生徒たち=佐世保市

 建設から100年を迎えた長崎県佐世保市の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所(通称・針尾無線塔)」。県立佐世保工業高建築科の生徒が約2年7カ月かけて、無線塔の300分の1のジオラマを作った。無線塔の電信室に展示している。
 ジオラマ作りは3年ほど前、高齢者など無線塔の近くまで来訪できない人のために「電信所や周辺の景観を感じられる模型を作ってほしい」と市から依頼を受けて始めた。
 3年生の授業「課題研究」で、ジオラマ制作を選択した生徒15人が担当。2020年度から22年度まで、次年度に引き継ぎながら各代で作業を進めていった。

制作したジオラマでは、電信室や周辺の地形など、細部までこだわった

 生徒らは現地を訪れて測量し、専用ソフトを使って図面から作成。特に塔の制作は、材料選びや形作りなど「ジオラマの中で一番悩んだ」という。頂上に近づくにつれて細くなる形状を再現するため、竹ひごなどで形を作り、しっくいを塗ってやすりで磨くなどして微調整を重ねた。20本以上試作品を作り、完成までに約半年かかった。ジオラマでは、塔だけでなく、電信室や周辺のミカン畑など細部までこだわった。
 吉川愛香さん(18)は「先輩たちが作ったものを完成させることができ、達成感でいっぱい」と充実した表情。小林凌馬さん(18)は模型を通して「無線塔の知名度を上げ、佐世保の魅力の一つとして県外の人に知ってもらいたい」と期待を込めた。


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