公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査で判明

 通常学級に通う公立小中学校の児童生徒の8.8%に、支援が必要な発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査で明らかになった。10年前の前回調査から2.3ポイント上昇している。

通常学級1クラスにつき2-3人の割合

 調査は今年1~2月、全国の公立小中学校の通常学級に在籍する子ども5万3951人をランダムに抽出し、教諭が対象となった子どもについて「学習障害」「ADHD(注意欠陥多動性障害)」「高機能自閉症」を診断するための専門の質問票に回答した。結果、いずれかに該当する小中学生の割合が8.8%に上ることが明らかになった。この調査は2002年から10年ごとに行われているが、2002年の6.3%、2012年の6.5%より数値が上がっている。

 男女別に見ると、小中通じて男子は12.1%、女子は5.4%となっており差がみられる。また個別に見た場合は、学習障害がが6.5%、ADHDが4.0%、高機能自閉症が1.7%となっており、障害が重複する例も見られた。学年別では、小1が12%%、小5が8.6%、中1が6.2%、中3が4.2%など、学年が上がるにつれ割合は減少した。

 調査では、こうした「通常学級に存在する支援が必要な子ども」について、現在どのような対応がなされているかも聞いたところ、校内で「支援が必要」と判断されている子どもの割合は28.7%で、実に7割以上がサポートを受けられていない可能性があることが明らかになった。この数値でも10年前の18.4%よりは格段に改善しているが、高い数値とは言えない。

 調査をまとめ評価した有識者会議の宮﨑 英憲座長(全国特別支援教育推進連盟理事長/東洋大学名誉教授)は「教育的支援が必要と判断されていない児童生徒については、そもそも校内での検討自体がなされていないなど、学校全体で取り組めていない状況が見受けられる。特別支援教育コーディネーターを核として、全教職員で校内支援体制の構築と充実を図る必要がある」と報告書のなかで指摘している。

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