売れ行き良好につき3刷決定! ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と小泉セツの出会い・共同作業をドラマチックに描いた時代小説『ヘルンとセツ』(著者・田渕久美子コメントあり)

2022年8月30日に発売された時代小説『ヘルンとセツ』(NHK出版刊)の3刷重版が決定した。本作は刊行以来、小説の舞台である松江を中心に山陰地方で話題となり、その後、全国的に人気が広まっている。 増刷に際し、著者である脚本家・作家の田渕久美子、本作を広めている書店員の方々からコメントが寄せられた。 島根県生まれの脚本家・作家、田渕久美子による時代小説『ヘルンとセツ』。 本作は、1890年に松江の尋常中学校教師として赴任してきたラフカディオ・ハーンと、松江藩上士の家に生まれた出雲の神々・武⼠の文化をもつセツの共同作業、異文化混交の中から芸術が生み出されるまでの物語を描いた小説。作品の舞台となる松江をはじめ山陰地方でその人気に火が付き、『山陰中央新報』、『島根日日新聞』、『朝日新聞(島根版)』、『四国新聞』など、メディアでも多数紹介。その後、評価が全国に広がりを見せ、このたび増刷・3刷が決定した。

『ヘルンとセツ』とは

明治になり松江藩でも、武士たちはその身分、家禄を失った。小泉セツは幼いころは上士の娘として大切に育てられてきたが、住んでいた住まいを追い出され、働く意欲を失った父に代わって、縫物仕事や機織りで稼ぎ、糊口をしのいでいた。折しも日本に憧れ、来日したものの、原稿が採用されず、学校教師となったラフカディオ・ハーンが松江の尋常中学校に赴任する。縁あってセツはハーンの身の回りの世話をすることに。セツが語る民話にハーンが高い関心を示し、何度も繰り返し話すように頼む。こうして二人の共同作業が始まった……。

松江の史跡、名所を舞台に、尋常中学校教師として赴任した“ヘルン先生”ことラフカディオ・ハーン(後の小泉八雲)と、武⼠の娘・小泉セツの愛を育んだ物語。

著者・田渕久美子コメント

『ヘルンとセツ』は、ヘルン(ラフカディオ・ハーン/小泉八雲)とセツの出会いと二人が強く結び合うまでのいわば恋愛小説の一面も強く意識して書きました。一方で、読者の方から、「小泉八雲は知っていたが、それを支えたセツの存在は知らなかった」「明治の時代にこんなに素晴らしい日本女性がいたのか」などの嬉しいお声も寄せていただきました。また、ヘルンが冨田旅館の目を病んだ女中・ノブを連れて行った眼科医のお孫さん、ヘルンの専属車夫だった方のお孫さんともお会いする機会をいただけることにもなりました。『ヘルンとセツ』の時代は、現代と地つづきなのだなと実感もしています。

書店員の方々からの推薦コメント

小泉八雲や怪談を中心に描かれた書籍はこの世に多数あれど、小泉セツを中心に描かれた本書は極めて貴重な一冊! 松江とゆかりがあり、思い入れがあるからこそ面白いのはもちろんのこと、セツが人間として”出来た”方なので、セツ、ひいてはヘルンの人間模様をぜひとも見ていただきたいです。(今井書店グループセンター店 文芸書担当:濱邊海里)

ヘルンとセツの間に芽生えた深い愛情と信頼は、やがて『怪談』など後世に語り継がれる名作へと結実する。ひたむきで誠実なセツ、どこかチャーミングで人を魅了するヘルン。このすてきな二人の物語を、ぜひとも著者の脚本でドラマ化希望!(今井書店:竹内麻紀子)

ハーンとセツ、物語の好きなふたりの人生がそのまま物語になったことがとても素敵だ。「ふたりの物語」というよりは、それぞれの人生が強い縁によって混ざり合っていく物語である。ふたりの人生を多くの人の記憶に残す本書には長く読み続けられてほしい。(ブックセンタージャスト大田店:島田優紀)

著者紹介

田渕久美子(たぶち・くみこ)

島根県生まれ。脚本家・作家。主な脚本に、NHK連続テレビ小説『さくら』(橋田壽賀子賞)、日本テレビ系『冬の運動会』(放送文化基金賞・テレビドラマ番組賞)、NHK大河ドラマ『篤姫』、『江 ~姫たちの戦国~』、NHK日台共同制作ドラマ『路(ルウ)~台湾エクスプレス』など。小説は、『江』上下巻、『美女と男子』、『おね』上下巻(以上、NHK出版)。

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