「100円を切ってることが少ない」“物価の優等生”にも値上げの波…卵1年で60円以上高騰に消費者も生産者も困った【家計のミカタ】

247円。静岡市内にあるスーパーのタマゴLサイズ10個入りの1パックの値段です。いつでも比較的安定した金額で買うことができた卵にも値上げの波。「困った時は卵料理」という考えは、今後、難しくなるかもしれません。

静岡県富士宮市内の養鶏場が運営する直売所「チキンハウス青木養鶏場」。近づくクリスマスに備え、ローストチキンの仕込みで忙しい時期です。そのチキンの価格も値上がりしていますが、養鶏場のもう一つ大切な商品の卵も高騰。

「物価の優等生」と呼ばれている卵ですが、JA全農たまごによりますと、東京市場での出荷額は1年前は1kg210円でしたが、2022年12月は273円と60円以上値上がりしています。

富士宮市の青木養鶏場では、鶏肉用のニワトリおよそ40万羽、たまごを産むニワトリをおよそ3000羽飼育しています。鶏肉とたまごの値上がりの要因となっているのは、毎月1万tもの量を消費するエサ代です。

<青木養鶏場 青木広明社長>

Q.月のエサ代がかなりかかる?

「養鶏場全体で、5000万円程度掛かる。1年前に比べると30%以上値上がりしているので、かなり厳しい状況」

ウクライナ情勢の悪化により、トウモロコシを中心に、外国産の穀物の価格が上昇、売上の半分以上がエサ代で消えてしまうといいます。さらに鶏舎を24時間稼働するための電気代と鶏舎内の温度を保つための重油代の高騰が追い打ちをかけます。

<青木養鶏場 青木広明社長>

「(売上に占める経費は)ほとんど全部ですね。補助金がないと生産はやっていけない状況」

家計にも影響を与える卵の値上げ。スーパーの特売品の代表だった「物価の優等生」の値上げには買い物客も敏感です。

<買い物客>

Q.タマゴの値段が上がったと感じる?

「安い時にチラシを見て買いに来ている。100円を切ってることが少ないかなと思う」

「(タマゴの値上がりは)大変ですよ。結構毎日使うので大変ですよ、主婦は」

スーパーアンドウ池田店(静岡市駿河区)では、25円の値上げをしましたが、利益が出るギリギリのラインです。そのような状況ですが、スーパーでは、少しでもお得に買い物をして欲しいと必死です。

<スーパー安藤 安藤秀剛社長>

「12月17日土曜日に大爆発祭をやります。タマゴもめちゃめちゃ安く、198円が99円になるので、是非、お願いします」

「物価の優等生」の卵も値上げ。私たちの食卓に欠かせない食材の高騰が落ち着くのは、もう少し時間が掛かりそうです。

<影島亜美キャスター>

「物価の優等生」たまごの値上げは、本当に大変。値段が上がっている中ですが、他にも不安材料があります。

取材をした青木養鶏場の青木社長によりますと「鳥インフルエンザ」がもし、静岡県内でまん延すると、もっと値段が上がるリスクがあると指摘していました。

野村哲郎農水相は「例年の傾向を顧みると年明けには一旦需要が落ち着き、鶏卵価格は低下する」という見方を示していますが、少なくとも年末までは、家計へのダメージは避けられません。

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