回転ずしチェーン「くら寿司」を運営する、くら寿司<2695> が250円、345円といった高価格商品の拡充に乗り出した。すでに、カニや大トロ、九州などをテーマにしたフェアでは、これら価格の商品を投入しているが、今後ラインアップの幅を広げ新しい価格帯商品の定着を目す。
同社の2022年10月期は仕入れ価格やエネルギー価格の高騰などの影響で、11億1300万円の営業赤字に陥った。2023年10月期は高価格商品の投入をはじめ、国内外での積極的な出店などによって、3期ぶりの営業黒字を目指す。売上高も初の2000億円越えを計画しており、利益、売り上げともに高価格商品が果たす役割は小さくはなさそうだ。
拡がる選択肢
くら寿司は、2022年10月1日に、110円と220円の商品を115円と165円に変更した。それまでのシステムでは1皿の110円と皿を2枚重ねた220円の2種類しか計算できなかったが、会計時に異なる価格帯の商品でも自動で正しく計算できるシステムを構築したことから115円と165円の商品開発が可能になった。
このシステムによって250円、345円といった高価格商品の提供も可能になり、12月2日に始めた「大とろと九州フェア」では、極み熟成大とろ(345円)や、鹿児島県産 桜くえ(250円)、揚げいかしゅうまい(250円)などを投入した。今後はさらに高価格の商品開発に取り組む計画だ。
同社では115円の商品を約50種、165円の商品を40種以上品ぞろえしており、これに高価格商品を加えることで、利用者の選択肢を広げていく。
外国人旅行客は追い風に
高価格商品の開発と合わせて、同社では2023年10月までに国内で25~30店を、米国で9~11店を、台湾で5~10店を出店する。さらにコロナ禍で休止していた中国への出店も再開する。
こうした取り組みで、2023年10月期は売上高2090億円(前年度比14.2%増)、営業利益30億円(前年度は11億1300万円の赤字)、経常利益31億円(前年度比26.2%増)、当期利益11億円(同47.7%増)を見込む。
日本では新型コロナウイルス感染者数が増えているものの、入国制限が撤廃され外国人旅行客は増加傾向にある。初の2000億円台乗せと、3期ぶりの営業黒字という目標達成を目指す、くら寿司にとって外国人旅行客の増加は追い風になりそうだ。
文:M&A Online編集部
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