非正規職員の旧姓使用、沖縄県内の29市町村で認めず 本紙調査 19町村は正規職員も

 沖縄県内の市町村職員の旧姓使用に関する規定について琉球新報が調べたところ、全41市町村の7割に当たる29市町村が非正規職員の旧姓使用を認める規定を設けていないことが13日までに分かった。このうち10市町村は正規職員に対する旧姓使用を認める規定はあるが、非正規職員は除外している。また、正規・非正規含めて職員の旧姓使用を認める規定がない市町村も19町村あった。

 沖縄市は非正規職員の旧姓使用について、市教育委員会は認めているが、市長部局は認めていない。

 正規・非正規含めて全職員の旧姓使用を認めているのは11市町村。旧姓使用の規定がない市町村は「職員から旧姓使用の要望が上がっていない」ことを主な理由に挙げた。

 「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長は「自分の氏名を名乗ることに身分で差をつけるといった差別的な対応を早急に改めないといけない。憲法で保障される人格権の侵害に関わる」と指摘した。

 国は2017年に全国自治体に対して地方公務員の旧姓使用を認める積極的な取り組みをするよう通知した。だが、井田事務局長は「国会では、戸籍上と仕事上で使っている名前が異なると金融機関などで不正に使用され、混乱が生じると指摘されている。旧姓使用の拡充だけでは懸念がある。結婚して改姓した側だけが不利益を被る状況はおかしい。選択的夫婦別姓制度導入が必要だ」と語った。

 非正規職員の旧姓使用を巡っては、21年に県教育委員会に勤務する会計年度任用職員(非正規職員)の女性が「県民ご意見箱」に旧姓使用の要望を投稿したことをきっかけとして、県教委と県知事部局は規定を是正する意向を示した。

 本紙は7~9日にかけて、県内41市町村に聞き取りして結果をまとめた。 (梅田正覚)

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