妊娠中期を安心して過ごすために知っておくべき「注意すべき出血」と「心配のない出血」【産婦人科医】

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妊娠中期は、危険な出血が比較的少ない時期です。とはいえ、なんらかの出血を経験するママはめずらしくありません。この時期の出血の原因や、危険な出血について、帝京大学医学部附属病院・笹森幸文先生(産婦人科教授、総合周産期母子医療センター長)に伺いました。

気になる妊娠中期のおなかの張り「心配のない張り」と「危険な張り」を知っておこう【産婦人科医】

妊娠中期のあまり心配のない出血

妊娠15週ごろまでの出血であれば、妊娠初期に多くみられる絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)の可能性も。また、子宮腟部(しきゅうちつぶ)びらんや子宮頸管(しきゅうけいかん)ポリープから一時的に出血したり、内診やセックスが刺激となって出血したりすることもあります。これらの出血はほぼ心配ありません。

あまり心配のない出血の原因

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

子宮を包む絨毛膜の外側に血液がたまっている状態。血腫が体外に流れ出ると、出血として気づくことがあります。あまり心配ありませんが、まれに血腫が大きくなり、流産や早産につながることも。

子宮頸管(しきゅうけいかん) ポリープ

炎症などが原因で子宮頸部にできた良性のポリープ。ポリープから出血することがありますが、出血は一時的なもの。妊娠経過に影響することはありません。

子宮腟部(しきゅうちつぶ)びらん

子宮の入り口の粘膜が、ホルモンの影響で腟のほうにめくれている状態。粘膜のやわらかい部分なので、内診やセックスなど、ちょっとした刺激で出血することがあります。

接触出血

内診やセックスの刺激で出血することがあります。とくに、子宮頸管ポリープや子宮腟部びらんがあると、出血しやすい傾向に。

緊急の場合もあり。注意すべき出血とは

出血が、真っ赤な鮮血だったり、止まらない、おなかの張りや痛みを伴う、おりものの異常があるといった場合は、危険な兆候なので、すぐに産院に連絡しましょう。
また、健診で「子宮頸管が短め」「前置胎盤の疑いがある」と指摘されたことがある人は、流産や早産のリスクが高いので、出血にはとくに注意が必要です。

危険な出血の原因

切迫流産

妊娠12週以降の切迫流産の原因は、切迫早産とほぼ同様です。おりものの異常、おなかの張りや痛みを伴うことも。

切迫早産

多い原因は、卵膜が細菌に感染して発症する絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)や、動きすぎなど。おりものの異常、おなかの張りや痛みを伴うこともあります。

監修/笹森幸文先生

取材・文/栗本和佳子、たまごクラブ編集部

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内診後などの出血はめずらしいことではありません。しかし、切迫流産・切迫早産の兆候として起こる出血もあります。とくに子宮頸管が短めの人、おなかが張りやすい人、前置胎盤の疑いがある人は、注意しましょう。

参考/『中期のたまごクラブ』2023年冬号「妊娠中期を安心して過ごすためのママと赤ちゃんの見通し&やることのすべて」

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

『中期のたまごクラブ」2023年冬号では、巻頭大特集「妊娠中期を安心に過ごすためのママと赤ちゃんの見通し&やることのすべて」があります。こちらもチェックしてみて。

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